活字中毒者の禁断症状

引きこもりが読書感想文を提出するブログ

2023-01-01から1年間の記事一覧

【読書感想文】コンジュジ / 木崎みつ子

芥川賞候補作 あらすじ ある日精神が不安定な父親と2人暮らしだったせれなのもとにベラさんという女性がやってきて新しい母親となる。父とベラさんはともに働いて頑張っていたが、やがて仲は険悪となり、ベラさんは家を出ていく。ベラさんがいなくなると父親…

【読書感想文】ホモサピエンスの瞬間 / 松波太郎

芥川賞候補作 あらすじ 出張マッサージ師である主人公が施術するのは介護施設に入っている五十山田さん。五十山田さんは戦争を経験しており、肩こりをほぐされ、身体の調子を整えられるなかで戦争の時の記憶を思い出し、苦しむ。西洋医学を駆使して五十山田…

【読書感想文】私の盲端/ 朝比奈秋

2023年の三島由紀夫賞受賞者である朝比奈秋さんのデビュー作 あらすじ 悪性腫瘍の摘出手術で肛門と腸を切断し、人工肛門をつけることになった女子大生の涼子。涼子はレストランでウェイターとしてバイトしていたが、人工肛門のことが気になってしまい、就活…

【読書感想文】体育館の殺人/ 青崎有吾

引くほど前に買ったやつ 久しぶりに読んだミステリー あらすじ 放課後、高校の体育館のステージ上で何者かによって放送部部長の朝島が殺害されていた。犯行時間は10分程度。しかし上手と下手の入り口には鍵がかかっており、密室状態であった。卓球部の袴田柚…

【読書感想文】くるまの娘/ 宇佐見りん

野間新人文芸賞・織田作之助賞候補作 あらすじ 女子高校生のかんこは学校にいても授業には出ずにふらふらとして日々を送っていた。ある日、祖母の訃報が届き、父と母と3人で祖母の家へ向かい、車中泊をすることを決める。常軌は逸してないものの時に暴力的で…

【読書感想文】アメリカ最後の実験/ 宮内悠介

あらすじ 音楽家の父俊一を探すためにアメリカにやってきた脩は、マフィアの1人息子のザカリーと自身の音楽センスに引け目を感じるマッシモの2人とともに父親も受験したグレッグ音楽院の試験を受ける。脩は父親が一時期活躍をしていたことを知ると父と一緒に…

【読書感想文】真ん中の子どもたち/ 温又柔

芥川賞候補作 あらすじ 台湾人の母と日本人の父をもつ琴子、台湾人の父と日本人の母をもつ玲玲、両親が中国人であるが日本育ちの龍舜哉。3人は中国語を勉強するために中国に留学し出会った。それぞれの立場で中国という文化と中国語と向き合いながら彼らは青…

【読書感想文】ゲルマニウムの夜 王国記I/ 花村萬月

芥川賞受賞作を含む連作短編集 『ゲルマニウムの夜』 朧は自らが育った修道院兼教護院に戻り、農作業をして働いていた。朧は宇川君や北君といった先輩たちにいびられながら汚れ仕事をこなしていく。ある時シスターの見習いとして働く教子に出会い、教子の処…

【読書感想文】ハケンアニメ/ 辻村深月

本屋大賞ノミネート作 あらすじ アニメ監督王子千晴とプロデューサー有科香屋子が手掛ける「運命戦線リデルライト」と新人監督斎藤瞳とプロデューサー行城が手掛ける「サウンドバック 奏の石」が同じクールに放映されることとなった。彼らは各々の立場でその…

【読書感想文】ジョニ黒/ 永井みみ

『ミシンと金魚』の作者による第二作目 あらすじ 横浜の街に住む小学生のアキラは母親のカズ子と二人で住んでいるが、家には母親の恋人である日出男が仕事もせずに入り浸っていた。アキラは日出男に連れまわされる日常でもっと打ち解けたいと思うのにどこか…

【読書感想文】叩く/ 高橋弘希

高橋弘希さんの最新小説集 『叩く』 闇バイトで金持ちの老婆の住む家に忍び込んだ主人公は仲間に裏切られ、老婆の家で目が覚める。老婆は拘束されていたが、主人公の顔を見ていた。顔がバレてしまった主人公は老婆を殺すために包丁を取りに行き…という話 『…

【読書感想文】ヒノマル/ 古市憲寿

あらすじ 国のために命を懸けて戦争をするべきだという軍国主義を重んじる中学生の勇二は、何事も器用にこなし、軍国主義を支持していないクラスメイトの啓介に誘われて、魔女が住んでいるという噂の洞窟へ出かける。啓介に裏切られ、1人で洞窟を進んだ先で…

【読書感想文】水たまりで息をする/ 高瀬隼子

芥川賞候補作 あらすじ ある日突然夫が風呂に入らなくなった。特にこれといった理由はなくただ入りたくなくなったようだった。何週間も風呂に入らない間に夫の体臭はキツくなり、会社や義母から連絡が夫の臭いについての連絡が届くようになる。ある日、里帰…

【読書感想文】私の消滅/ 中村文則

あらすじ 精神科医として働く小塚のもとに美しい1人の女が訪れた。小塚は彼女の記憶を書き換えるためにECTによる治療を繰り返す。やがて彼女は全ての記憶をなくして…という話 中村文則さんの作品散々読んでるはずなのに衝撃がすごい たぶん映像化してもこの…

【読書感想文】星月夜/ 李琴峰

あらすじ 日本の大学で日本語教師として働く柳凝月と日本で日本語を勉強して大学院に進学しようとしているユーリートゥーズー(漢字わからんかったからカタカナ表記)、2人は同性のカップルだった。2人は母国ではない日本で暮らしながら、仕事やバイト、学業…

【読書感想文】マルコの夢/ 栗田有起

芥川賞候補作 あらすじ 就職活動に失敗した一馬の元にフランスに住む姉から連絡が来る。姉の紹介で人気のレストランのキノコ係として雇われた一馬はマルコと呼ばれる高級なキノコを日本で探してくるように言われる。日本に帰国すると両親の仲が悪くなってい…

【読書感想文】神の子どもたちはみな踊る/ 村上春樹

村上春樹さんの短編集 ここでは特に好きだった2つの話について紹介 『かえるくん、東京を救う』 銀行で働く片桐が家に帰ると、かえるくんがいた。かえるくんはとても大きいカエルで大きな地震を止めるために片桐と一緒にみみずくんを落ち着かせるように頼む…

【読書感想文】熊の場所/ 舞城王太郎

三島由紀夫賞候補作 『熊の場所』、『バット男』、『ピコーン!』からなる短編集 『熊の場所』 小学5年生の主人公がクラスメイトのカバンに当たると中から切断された猫の尻尾が出てきた。彼はクラスメイトの動向を探るべく、クラスメイトと放課後に遊ぶよう…

【読書感想文】ウィステリアと三人の女たち/ 川上未映子

川上未映子さんの短編集 ここでは『彼女と彼女の記憶について』と『ウィステリアと三人の女たち』について 『彼女と彼女の記憶について』 上京して女優になった主人公は同窓会に参加する。彼女は同窓会で元同級生から声を掛けられながら、周りに対して優越感…

【読書感想文】朝顔の日/ 高橋弘希

芥川賞候補作 あらすじ 時代は戦時中。テーベという病に罹った幼馴染であり、妻である早季の看病をするために凛太は病院に通う。その病院には昔から早季や凛太のことを知っている浅野医師や患者である村田さんがいて彼らと交流するが、早季の病は少しずつ進…

【読書感想文】あくてえ/ 山下紘加

2022年上半期芥川賞受賞作 あらすじ 小説家を目指す19歳の は母と祖母の3人暮らし。 元夫の母親である 山下紘加さんの小説ってテーマが一言で表せる 『ドール』はラブドール、『クロス』はゲイ、『エラー』は大食いみたいな感じで 今回もそれで言うと介護っ…

【読書感想文】汝、星のごとく/ 凪良ゆう

2023年本屋大賞受賞作 あらすじ 舞台は瀬戸内海のとある島。父が愛人の元に行って帰って来なくなったことで精神を病んだ母と住む暁海は、京都から引っ越してきた、色んな男についていっては捨てられる母をもつ櫂に心惹かれ、付き合い始める。しかし高校卒業…

【読書感想文】騎士団長殺し/ 村上春樹

あらすじ 有名な画家である雨田具彦の家に住むこととなった、画家の私は屋根裏に隠された騎士団長殺しという絵を見つける。さらに谷の向こうの家の住人である免色の肖像画を描く依頼を受けたり、夜中に鈴の音が聞こえて家の裏に大きな穴を見つけたりと非日常…

【読書感想文】臆病な都市/ 砂川文次

あらすじ 首都庁で働くKは文書管理を行う。周りから浮かないように文書を正しいところへ正しく送り届けることを徹底して人日々の業務を行っていたある日、ケリという鳥を原因とした感染症が流行り始める。研究所では感染症の存在など確認できないと言われつ…

【読書感想文】来世の記憶/ 藤野可織

藤野可織さんの短編集 特に心に残った3つの話について紹介 『切手占い殺人事件』 クラスの女の子たちが切手にハマった。ハマったというレベルではないかもしれない。彼女たちは切手を集めることに熱中して男たちが目に入っていないようだった。そして男たち…

【読書感想文】ビニール傘/ 岸政彦

芥川賞候補作 あらすじ ガールズバーの店員のような女を乗せたタクシーの運転手、ガールズバーか何かで働く女を接客するコンビニ店員、日雇いのバイトで食いつなぐ男など。様々な男の視点が切り替わり、やがて1人の女視点に変わる。女は美容室で見習いとして…

【読書感想文】#柚莉愛とかくれんぼ/ 真下みこと

どうでもいいけど、ゆりあの予測変換って結構上位で柚莉愛って出るん不思議 あらすじ あまり売れていない3人組のアイドルグループ「となりの☆SISTERs」のセンターである柚莉愛は話題性の獲得のためにライブ配信で倒れたふりをすることを強制される。しかしそ…

【読書感想文】温泉妖精/ 黒名ひろみ

すばる文学賞受賞作 あらすじ 整形を繰り返している27歳のOLの絵里はとあるブログで紹介されていた温泉宿に泊まる。しかしそこは温泉の素を入れた古い浴槽しかなく、栄養の偏った食事のひどい温泉宿だった。主人公はすぐに帰ろうとするが、そこで様々な記憶…

【読書感想文】十代に共感するやつは全員嘘つき/ 最果タヒ

詩人の最果タヒさんの小説 あらすじ 隣のクラスの沢くんに告白して、まあいいよと言われた返事が気に入らなくて振った唐坂は男を弄んだように思われ、クラスでいじめられる流れになっていく。そんな唐坂を救うつもりの沢くんやずっとヘッドフォンをつけてい…

【読書感想文】彼女がエスパーだったころ/ 宮内悠介

吉川英治文学新人賞受賞作 宮内悠介さんの短編集 ここでは特に心に残った3つの話について 『百匹目の火神』 ある日を境に各地の猿による放火事件が勃発した。猿が火を恐れなくなったのはある島の一匹の猿が原因とされていて…という話 『ムイシュキンの脳髄』…