本屋大賞ノミネート作
あらすじ
アニメ監督王子千晴とプロデューサー有科香屋子が手掛ける「運命戦線リデルライト」と新人監督斎藤瞳とプロデューサー行城が手掛ける「サウンドバック 奏の石」が同じクールに放映されることとなった。彼らは各々の立場でそのクールの覇権を取るべく奔走する。さらに神絵師と呼ばれるイラストレーターの並澤和奈と聖地巡礼の係の公務員宗森は聖地巡礼で町おこしをするべく動き…という話
アニメをあんまり見ない立場からすると多面的にアニメの世界を見られるのが面白かった
覇権とか言わんやろって思ってたけど
秋アニメ一覧みたいなのを呟いてる人が今期の覇権はどれかみたいなこと言ってて驚いた
本当に言うんだな
辻村深月さんがアニメが好きなのかは分からないけど1つの小説を書く上でこれだけ調べてどの立場も理解するってすごいよなって思う
では具体的に良かったところを2点ほど
まず1つ目は
アニメの制作の割り振り
これが本作の1番の魅力だと思う
1つのアニメに対してどれだけの人が関わっているのかがよくわかった
そんなこと当たり前だと思うけど
でも絵を描いて欲しいという依頼に対して誰に描かせるのか決めることがあるのってとても違和感があった
アニメも1人の原作者の作品っていうイメージが強かったから
原作者1人の絵が本物でそれ以外偽物って感じに思ってたけど
アニメは何人もの絵師によって描かれるものだから本物と2次創作の差が漫画とかに比べたら曖昧なんだなって思った
そういうと悪い感じだけど
アニメというものの触れ幅を考えられて
なんか面白かったなあ
2つ目は
イラストレーターの立ち位置
この作品で出てくる登場人物の並澤和奈というイラストレーターは聖地巡礼の企画に参加して
実際に町おこしに貢献するんですけど
これって実際にありうるのかどうか気になった
アニメって巨大な組織で下請けみたいな立場なのにここまで直接関わるのかな
って思ったけど
よくあるアニメのコラボってそれ用の絵が描かれているわけで
コラボの数から考えたら1人でこなしてるわけじゃないから
似たような状況があるんだと思うし
アニメの世界のイラストレーターって立ち位置もちょっと気になったな
どんな人たちでどれだけの作品に携わっているのかとか気になる
アニメの世界に興味持つ機会を小説に与えられるのなんか変な感じ
でも良かった