あらすじ
音楽家の父俊一を探すためにアメリカにやってきた脩は、マフィアの1人息子のザカリーと自身の音楽センスに引け目を感じるマッシモの2人とともに父親も受験したグレッグ音楽院の試験を受ける。脩は父親が一時期活躍をしていたことを知ると父と一緒にいた元売春婦のリューイに近づき、父が使っていたパンドラという楽器に出会う。そんななか試験会場である殺人事件が起きて…という話
宮内悠介さんの作品は
純文学系のものを主に読んできていて
本作みたいな大衆文学のど真ん中って感じの作品は初めて読んだ
だから特に記憶に残ってる『カブールの園』と文体から何から違いすぎて衝撃だった
人が書くものってここまで変えることができるのかって
しかも宮内悠介さんのすごさってだんだん変わっていったわけじゃなくて
純文学っぽいものと大衆文学っぽいものを同時期に書いてたらするからより意味わからん
脳どうなってんだろ
では本作の良かったところを2つほど紹介
1つ目は、音楽の可能性
音楽詳しくないから全然わからなくて置いてかれたんですけど
パンドラという楽器が音を押されたキーの情報を受け取ってそれの何かを調整して出力する?
というもので
それをきっかけに父がブレイクしたってなってるんですけど
その辺りのことが実際にありうるのかわからないけど
音の伸びとかピッチとか?っていうのをリアルタイムで調整するだけで大きく印象を変えることができるの面白いって思った
そしてその発想を実装した楽器を考えてパンドラという名前で本作の鍵にするっていう覚悟もすごい
2つ目は、連続殺人と音楽のない世界
音楽をもたない人たちと荒涼とした世界の照らし合わせをして
そこに連続殺人を絡めて
音楽のない世界の絶望感を表現する表現力がすごい
リューイの荒んでいた心のバックグラウンドも回収して最後の実験に臨む様子が映像としてすごく残る描き方をしていると思う
この作品の中で主軸となるのが音楽の難しさで
色んな人が音楽に挫折したり、楽しめなくなったり
それでも音楽に携わり続けようとする姿勢も良かった
最初めっちゃHUNTER×HUNTERやん
とは思ったけど面白かった
とても