活字中毒者の禁断症状

引きこもりが読書感想文を提出するブログ

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

【読書感想文】切れた鎖/ 田中慎弥

「不意の償い」、「蛹」、「切れた鎖」の3作が収録された一冊 「不意の償い」 あらすじ 初めて妻と性行為を行った日、近所火事で両親が死んだ。無理やり妻に性行為を強制した日、妻は子どもを孕った。主人公は自らの性行為に後悔し、自責の念に駆られ、妻の…

【読書感想文】オン・ザ・プラネット/ 島口大樹

芥川賞候補作 あらすじ よしひろ、トリキ、鈴木、マーヤは映画を撮るために4人で車に乗って鳥取砂丘へ向けて出発する。道中でトリキの家で失踪した弟の話を聞いたり、大阪でよしひろの友人に会ったりしながら、4人は時間や記憶について考え、終焉を迎える地…

【読書感想文】九年前の祈り/ 小野正嗣

芥川賞受賞作 あらすじ 息子の希敏と里帰りをした主人公は、9年前の海外旅行のときにお世話になったみっちゃん姉の息子が病気で入院していることを知り、お見舞いに行くことにする。お見舞いの日、縁起の良い貝殻を拾いに行くために9年前の旅行を思い出しな…

【読書感想文】デッドライン/ 千葉雅也

芥川賞候補作 あらすじ 大学院で哲学を研究している主人公は、仲間とともに映画を作ったり、ゲイの集まる店に行き肉体関係を築いたりして過ごしている。修士論文を書かなければならない時期になり、女になるのか、生物になるのか、他者になることについて思…

【読書感想文】オテル モル/ 栗田有起

芥川賞候補作 あらすじ 会員制のホテル"オテル モル"で働き始めた希里。オテル モルは日の入りにオープンして日の出に終わるというシステムで、睡眠を求めているお客さんに快眠を届けるためだけに作られたホテルだった。そこに薬物中毒などのせいで入院して…

【読書感想文】いつか深い穴に落ちるまで/ 山野辺太郎

文藝賞受賞作 あらすじ とあるサラリーマンの山本は、焼き鳥が串に刺さっているのを見て、地球に穴を開けることを思いつく。そして日本からブラジルへ温泉を掘る技術を使って穴を貫通させるプロジェクトが始まった。広報となったサラリーマンの鈴木はいつか…

【読書感想文】インディヴィジュアル・プロジェクション/ 阿部和重

阿部和重さんの初期の代表作の1つ あらすじ 映写技師として映画館で働く主人公はある日、昔の友人たちが事故死したことを友人のイノウエに伝えられる。彼らは昔マサキという男が作った塾でスパイになるための訓練を受けていた。彼らはヤクザと関係していたあ…

【読書感想文】旅する練習/ 乗代雄介

芥川賞候補作で三島由紀夫賞受賞作 あらすじ コロナ禍となり、小説家の叔父は学校が休みになった小学6年生の亜美とともに鹿島までの旅に出る。叔父は川沿いを歩き、自然を描写する練習しながら、亜美はサッカーボールでリフティングの練習をしながら歩く。途…

【読書感想文】熱帯/ 森見登美彦

森見登美彦さんの作品で1番好きかも あらすじ 佐山尚一という男が書いた「熱帯」という作品は最後まで読まれたことがない。そんな不思議な本の真相に迫る沈黙読書会という集まりがあった。白石さんはその会に参加することになり、周りが覚えていない熱帯の部…