あらすじ
日本の大学で日本語教師として働く柳凝月と日本で日本語を勉強して大学院に進学しようとしているユーリートゥーズー(漢字わからんかったからカタカナ表記)、2人は同性のカップルだった。2人は母国ではない日本で暮らしながら、仕事やバイト、学業に励む。シェアハウスをしていたユーリートゥーズーのルームメイトが出て行った空き部屋に、ユーリートゥーズーは柳凝月ではなく、バイト先の子を誘い…という話
李琴峰さんの作品の同性愛をテーマにした小説は
芥川賞候補作になった『五つ数えれば三日月が』も読んだんですけど『星月夜』の方が好きだった
『星月夜』の方が長いっていうのもあるだろうけどプラスの部分というか主題以外の部分がとても充実していたから読んでて飽きないし一層楽しめましたね
最初2人の視点で書かれているのがわからなくてめっちゃ混乱したけど
では具体的に良かったところを2つほど紹介
1つ目は
人と人の隔たり
セクシャルマイノリティとか留学生とか
マイノリティの視点で描かれてる分、
人と人の間の壁を感じる場面が多かったんですけど
でも決定的なわかり合えなさとかすれ違いとかっていうのが家族間とか友人間で描かれていた
っていうところにマイノリティとマジョリティの差の大きさ以上に人と人の差が大きいなって思わされた
それはよく考えたら当然かもしれないけど
人は細かく見ていけば何かの領域では確実にマイノリティだし、その領域に注目が集まっているかどうかでマイノリティとか言われてるだけだからそりゃああんまり1つ2つのことでマイノリティでも変わらんよなって思った
2つ目は
バイト先の友人との関係
ユーリートゥーズーとバイト先の友人の関係がとても繊細で難しかった
お互いがお互いに好意は抱いてるけどそれは2人とも恋愛感情ではない気もしたけど
柳凝月とユーリートゥーズーが2人で母国語で話していた時に友人が感じた分かり合えなさへの後ろめたさみたいな正体をどう考えれば良いかわからなかった
友人間の信頼関係から生じる親しみと恋慕の差異を考えてみても
そもそも心そのものが曖昧だから境界なんて当然はっきりしてないよなって思って
色々考えるきっかけになって良かったな
同性愛の絡む人間関係について1番考えさせてくれる作家さんかもなって思いますね