芥川賞候補作
あらすじ
大学を退学し、塾講師として働く主人公はネットでバンドメンバーを集めてバンドを結成することにする。そのことをきっかけとして寡黙で自分の間違えを認めない男子中学生のヨシモクとの関係性も少しずつ変わっていき…という話
バンドと塾講師してる主人公の状況が懐かしくて共感性高かったな
全体的には物語の方向性と主軸が捉えにくくてめちゃくちゃ楽しめたってわけではないんだけど
人の日常を楽しむ小説としては良かったな
では具体的に良かったところを2つほど
1つ目は、ヨシモクの人間性の解像度
中学生で間違えたことを認めない
覚えていないだけのことを全部忘れてたってことにする
っていう思春期ならではの自尊心の高さを的確に書いてるよね
その生徒に教えるときに
いや覚えてねえだけだろって言わずに
これってどうだったっけって聞くの個別指導塾の塾講師あるあるすぎるよな
この本がある限りある程度の塾講師の経験保存できる気がする
2つ目は、バンドの距離感
バンドをやってる時の各々の自尊心を楽器を通して表現し合ってる感じが絶妙に表現されてて
めちゃくちゃバンドの空気感で
やっぱ気色悪くてめっちゃ嫌いだーって思った
楽器メインの人間関係って感じで
外側からみるよりも遠い距離感で
無骨でクールな人間関係築いてる感が本当に…
って過去の嫌な記憶を鮮明に引き出してくれるのがバンドのリアルを描いてくれてる空なんだろうな
改めてコピーバンドというものが本当に合ってないんだろうな
ってことが実感できました
過去の自分が感じた違和感は間違ってなかったな
軽く読める純文学って魅力よな
2000年代初めくらいの芥川賞候補作に多いのでついその辺り読んでしまうな