2022年上半期芥川賞受賞作
あらすじ
小説家を目指す19歳の
は母と祖母の3人暮らし。
元夫の母親である
山下紘加さんの小説ってテーマが一言で表せる
『ドール』はラブドール、『クロス』はゲイ、『エラー』は大食いみたいな感じで
今回もそれで言うと介護っていうテーマでわかりやすいんですけど
そのことによるデメリットってテーマに興味があるか否かで面白く感じるかどうかが大きく分かれることにあると思うんですけど
今回の『あくてえ』に関しては遊びの部分が大きくて色々な要素が詰め込まれていたから読み応えもあったし面白さが違う
では具体的に良かったところを2つほど紹介
1つ目は介護の公平性
この本の核となる部分の介護についてなんですけど
とにかく被介護者と介護者の関係を躊躇なく書いているところが良かった
たぶん好き嫌い分かれるとは思うんですけど
自分は被害者とか何かを受けた側が何しても良いっていう考え方があんまり好きじゃないんですよね
他にもセクシャルマイノリティとか障がい者に対して特別に扱いすぎることとか好きじゃなくて
っていうのも過剰な特別扱いって異物として排除してるのとあんまり変わらないんじゃないかって思って
人間対人間の関係性であるところは失っちゃいけないところだと思うんですよね
だからこの作品の公平性に惹かれた
2つ目は男女の心情の違い
この作品を味わい深くしてる大きな要因が交際相手とのやりとりだと思うんですよね
主人公は女性で女性側の気持ちや出来事は全て書かれているのに対して男性側は気持ちは書かれていなくて行動だけが書かれているから
男女のすれ違いがとてもよくわかる
特に男性側の的外れな心遣いについてはしっかりと書かれていて面白かった
芥川賞候補作なだけあってとても面白かった
山下紘加さんの作品はこれからも要注目ですね