舞城王太郎さんのデビュー作
あらすじ
サンディエゴで外科医をする四郎は、母親が怪我をしたという連絡を受けて日本に帰国する
母親の怪我の原因は頭を殴られた後土に埋めるという犯行で主婦を襲う者による犯行によるものだった
四郎は故郷の仲間たちとともに事件の謎を解いていくが、そこに失踪中の二郎や自殺した祖父などの謎も関連してきて…という話
舞城王太郎さんの作品初めて読んだんですけど
森見登美彦さんくらいの独特さ
テンポ感も言葉選びも雰囲気も唯一無二で
色んな作品を読んでみたくなった
タイトルも面白そうなの多いし
全体的に面白かった点を3つほど
1つ目はトリックの特異さで
事件の謎にドラえもんとか動物占いとか数学の関数とかが関連していて
そのどれもが突飛で説明されてもいまいちよくわからないといえばよくわからないんですけど
それを事件のトラックに落とし込んで
天才的な主人公を通して伝えるのがめちゃくちゃ凝ってて
舞城王太郎さんの作品でしか得られないものを感じましたね
2つ目は登場人物の多様さと特異さで
4人兄弟とその父親、母親、祖母に加えてマリック、ルパン、ウサギという個性豊かな登場人物たちが出てきて
そのどれもが性格や行動原理がはっきりとしているから頭に入ってきやすい
でもやっぱり自分的には父親と4人の兄弟の関係性とか祖母の言葉の煙か土か食い物っていう言葉とかはとても良いなって思いますね
そこはファンタジーにするんじゃなくて
現実味を帯びたものにしているのが好感
3つ目は事件のシリアスさで
全体的にテンポよく、ポップな印象で進んでいくのに
事件に関わることは結構残酷なものも多くて
全体的な印象から事件の凶悪さが浮くからより怖い得体の知れないものに思えるのが良い
そこに舞城王太郎さんの信念みたいなものがあるのかなって思いますね
舞城王太郎さんの作品はミステリーもあれば純文学っぽいのもあるらしいから純文学っぽいのも気になる