活字中毒者の禁断症状

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【読書感想文】愛が嫌い / 町屋良平

『しずけさ』、『愛が嫌い』、『生きるからだ』からなる短編集
ここでは『しずけさ』と『愛が嫌い』について

『しずけさ』は、
うつ病になって仕事を辞めた主人公が夜に起きて散歩をしていると川で小学生の男の子に出会った。男の子は夜の間だけ家を出て過ごさなければならなかった。うつ病で社会からドロップアウトしている主人公と夜を1人で過ごしていた男の子が2人で夜を過ごしていき…という話

『愛が嫌い』は、
独身でレストランで働いている主人公は、友人夫妻のひろくんという子どもを預かって過ごしている。まだ幼いひろくんに対して主人公は、建物の構造について話したり、住宅展示場に連れて行ったりしながら家族について考えるという話

町屋良平さんの作品は『1R1分34秒』しか読んでなかったんですけどこの短編集は終わり方がそれぞれさわやかな感じで読後感が良かったですね
どれも2〜3人を中心とした人間関係についてが中心という印象で
誰かに頼ることができなかったり、話せなかったりする人物たちが心を通わせる様子に焦点が当てられてますね

爽やかな展開なのは『しずけさ』が1番かなと思うんですけど
『愛が嫌い』は家族に対して後ろめたさを抱えている主人公が友人の子供と伸び伸びして話してる様子が描かれているのがところどころめちゃくちゃ共感できるのが面白く感じましたね
それに加えて主人公が建物の構造なんてわからないひろくんに対していろいろ語りかけるところも面白いですね

出てくる人物たちが誰も無理をせず少しだけ前を向くような話でとても読後感が良かった