文藝賞受賞後の1作目
話は、警備会社で働いている主人公が浮気相手の悪ふざけで始まった女装にのめり込んでいき、あるときタケオという男に出会って肉体関係を結ぶようになって…という話
山下紘加さんは文藝賞受賞作の『ドール』が面白そうで気になってたんですけどたまたま『クロス』を見つけたのでこちらを先に読んだ
読みにくいけど面白い印象ですね
主人公はもともと不倫をしていて
その不倫相手が悪ふざけで女装してから行為をしようということになって
その女装という趣味がどんどん主人公の中で巣食っていって不倫相手自体はどうでも良くなっていくのは恐いところもありますね
主人公の周りの人間関係も少しずつ崩れていって
女装をするようになって妻と向き合うようになったけどそれは女装の参考にするためだったり
タケオとの関係もいろいろなものを犠牲にしたにも関わらず上手くいかなかったり
っていうのが切ない
女装というテーマではあるけどそれが具体的にどういう欲求なのかには言及していないのが遠野遥さんの『改良』とも共通していて
たまには断定的に言うものもあっていいのかなって思いつつも難しいところだよなぁって
まあでもこういうテーマは読んで楽しいところはありますね
山下紘加さんは目の付け所が面白いので『ドール』も『エラー』も読みたいし、これからも読んでいきたいですね