三島由紀夫賞受賞作
『カブールの園』は芥川賞候補作
『カブールの園』
あらすじ
アメリカでプログラマーとして働く日系人のレイは仕事は充実していたが、カブールの園というVRの治療法で過去のいじめの記憶と向き合おうとしていた。人として扱われなかった過去と向き合うため、レイは日系人の収容所、そして母に会いにいって…という話
『半地下』
あらすじ
アメリカで父親に捨てられた姉のミヤコと弟のユーヤ。ミヤコはユーヤを養うため、男性と恋仲になったり、三角関係になったりしている設定のプロレスラーとなり、身体を傷つけてまで金を稼ぐことになる。ユーヤは学校へ行き、ドラッグにハマり、友人を失い、揺らぎながらも懸命に生きていき…という話
あらすじ下手です
上手く説明できませんでした
それは置いておいて
宮内悠介さんの作品は初めて読んだんですけど
これだけ色んな本読んできてるのに
今まで読んだことがない空気感をとても強く感じた
めちゃくちゃ悪く言うと粗雑な文章の感じがある印象なのに
世界観は一貫していて作品の空気感を一切損なっていなくて
小説の奥深さを感じさせてくれた
では具体的に心に残ったところを1つずつ紹介
『カブールの園』で心に残ったのは、
レイの心情の読めなさ
レイはこの話の中でアメリカ人に対して抑圧を受ける日本人の運命みたいなものを感じていて
自身のいじめの過去の影響を受け続けていて
とてもネガティブな心情になる気がするのに
時間が経っているからなのか心情が掴みきれない
そして母に色々なことがバレていたことに気がつく時もそのモヤモヤをモヤモヤのまま書いているような印象を受けた
心情を言葉で断定し切っていない感じが
心に対して繊細に向き合おうとしている印象を受けてとても良かった
次に『半地下』で心に残ったのは、
ユーヤの体験と心の感じ方の時系列の差
ユーヤが経験していることを振り返っているからなのか
その場にいるのに物事を理解できていないというか心が追いついていない感
それなのに姉のことで一気に嫌悪感を感じるところもあって
読んでいながらユーヤという人物の中に入り切ることができるのが面白かったですね
アメリカに住む日系人の立場なんて本来離れすぎていて想像もできないのに
ちょっと体験できたような気持ちになれるのが小説の面白さやなって改めて思えた
正直読みやすい文章ではないけど
宮内悠介さんの作品は軸がしっかりとしていて面白い
これから少しずつ読んでいきたい
って言ってももうあと4冊買ってるけど