育児を中心に書かれた連作短編集
あらすじ
会計事務所に勤める裕と自身のブランドを立ち上げている志保には、姉の莉枝未と弟の琉大という2人の子どもがいる。裕と志保は、小学校受験をする幼稚園に通う子を持つ友人や誕生日会を嫌がるママ友、保育園の入園枠を争うホカツや琉大の言葉の遅さなどさまざまな人や出来事に巻き込まれながら…という話
ほんまに苦手なテーマですわ
家族ってあったかいねみたいな雰囲気で
うわー知らねーって思いながら読んでたんですけど(そんなんなら読むな)
でもやっぱりさすがなのは
ミステリーっぽい要素を入れて飽きないようになっているのと
正直最後の話は自分でも楽しめた
最後の話の説得力を持たせるためのそれまでの章やったんかなって思うような感じだった
では印象に残ったところを紹介するんですけど
基本綺麗な話だからやっぱ自分が好きなのは薄汚れた人間とかムカつくところなのはご了承
1つ目は
子どもを使って離婚しようとする人間
保育園は子供を見る余裕のない人のための施設だからシングルマザーの方が優先的に入園が認可されやすいという事実があって
入園枠を勝ち取るために書類上だけ離婚する夫婦がいるっていう事実もある
それを踏まえて離婚するために保育園の入園資格を勝ち取ることができるという口実を利用する人がいるのではないか
っていう考察の結果書かれている話があって
その胸糞悪さったらありゃしないんですけど
でもそれをミステリーに落とし込んでいることに脱帽だ
まず保育園の事情とかも知らんと思いつかないし離婚を匂わせる雰囲気も作らないといけないから読んでてすごいなって思いましたね
単純に面白いし
2つ目は
言葉の習得の遅さとその指摘
とにかくこれがとても良かった
自分の子どもが周りに比べて言葉を覚えるのが遅い時の親の焦燥も
それを病気ではないかとしつこく問われることの煩わしさも
自分の教育に対する不安感も
もちろんこれまで考えたことなんてないテーマなんだけどとても共感できる感覚だと思う
そして面倒な親の書き方がとても上手い
本当にムカついた
子どもが本当に病気である可能性があるなら一度病院に行くのは大事だと思うけど
病気じゃないとわかった上で
色々言うのは子どもを信じていなくて性格を尊重していないことを意味するから本当に余計なお世話だよなって思う
あんまりテーマ好きじゃない小説って
今回みたいに自分の想像もつかない価値観を得られるから
やめれんのよな
純文学系が好きだけどこういう本もちゃんと読んでいかなきゃな