あらすじ
小さい頃からアトピー性皮膚炎を患っている凛は大人になって書店員として働いている。自分の皮膚に対するコンプレックスを抱えながら書店員として働くなかで、同僚と人間関係が拗れたり、震災があったり、有名人の握手会があったり…さまざまな出来事に巻き込まれながらも懸命に生きていく…という話
アトピー性皮膚炎を『象の皮膚』と例えたタイトルに惹かれて買った直後に
アトピー性皮膚炎を患ってる身としてはめちゃくちゃわかるって思うことが多かったけど
まず絶対痒み止めの薬飲んだ方が楽
医者変えた方がいいぞって思った
では具体的に良かったところを2つほど紹介
1つ目はアトピー性皮膚炎の苦しみの描き方
アトピーを題材にするって題材として言ってしまえば弱い気がするんですよ
でも自分の皮膚が綺麗じゃないって
目につきやすくて常に意識せざるを得ないから常に劣等感がつきまとってしまう
っていう感覚の描き方がとても良い
良いっていうか共感できる
それだけど当人にならなければその感覚がわからないから
医師にカビだと言われたり
体育教師にサボっていると思われたり
してしまうの本当にわかるわ
自分自身が身体の状態に寛容じゃない体育教師をめちゃくちゃ嫌ってたことを思い出した
保健の方もちゃんとしてほしいって思うよなって
2つ目は書店での人間関係
書店で働いている著者だからこそ
書店での話っていう地盤が固まっていて
そこで築かれる人間関係にしっかりと焦点が合っている
主人公は女性だけど他の女性の扱われ方とちょっと違ったり
カッコいい社員が来たけど仕事は出来なかったり
そういう出来事をきっかけに生じる不和やいざこざがあまり過剰に装飾されずに描かれていて面白かった
自分の持病について書かれた作品は親近感が湧いて
本読んでるだけなのに話を聞いてもらっているような感覚になるから不思議だな
芥川賞受賞作の『荒地の家族』はあらすじもわかってないけど読んでみたいな