直木賞受賞作
あらすじ
震災で家族を全員亡くした花を引き取った叔父の淳悟は花にとって私の男で、2人は共依存して生きてきた。2人が隠した罪を隠すために再び罪を犯した2つ目の罪も隠蔽しながら花は美郎と結婚して、淳悟と離れて…という話
すごく良かったし
めちゃくちゃ攻めた構成
過去にしか進まない時系列で書かれた小説は初めて読んだ
父と娘が愛し合う話だし、2人で罪を犯しているし題材に対する嫌悪感みたいなものを感じる人はもしかしたらいるかもしれないですけど
それでも全体を良い雰囲気が纏っているから
多くの人は楽しめるようになっていると思いますね
では具体的に良かったところを2つほど紹介
1つ目は、花と淳悟の共依存
花と淳悟はお互いの婚約者や恋人がいる前でも寄り添っていて
周りが2人を狂気的に思うほど距離感が近い
淳悟から見た花は腐った花みたいに流麗と狂気を併せ持った人物みたいに見えていて
花から見た淳悟は深い愛情と暴力という両極の二面性のある中毒性のある人物みたいに見えていて
お互いを搾取し合っているような関係性が
読んでてクセになる
2つ目は、2人の生まれ育った背景
2人とも本来の家族を失っていて
頼る相手が他にいない
特に花に関しては兄妹も両親も目の前で失っているんですけど
その両親と淳悟との関係も複雑だからこそ
お互いを求め合うようになっている
っていうことがわかる展開が見事
最初の一章では花と淳悟が不気味な存在で
その後で2人が犯した罪についてわかって
不気味さと哀しさを感じて
最終的に強く人間愛を感じる
すごく好きだったのに
なんか伝えきれなかった感があるな
それがちょっと残念だけど
とにかく良かった