直木賞受賞作
あらすじ
実の兄妹であるのに惹かれ合う暁と沙恵、妻がいる男と関係をもつ美希、妻と娘のいる家に帰りたくなくなり愛人との時間を過ごす貢、戦争の時に娼婦の美珠と恋仲になった重之など…それぞれの想いを抱えながら生きてきた一家のさまざまな人生が描かれた話
村山由佳さんの本って本屋さんでいっぱい見るんですけどたぶん女性に人気?の作家さんで
ちょっと読む機会がなかったんですけど
読んでみるとなんだろうな
性描写とかはそれほど多くないのに妖艶な雰囲気がして綺麗だった
では具体的に良かったところを2つほど紹介
まず1つ目は兄妹間の愛
腹違いの兄妹として育った2人は
成長していくなかでお互いを愛し合うようになって
妹の沙恵が男に無理やり肉体関係をもたされた時に兄の暁はより強く沙恵を意識して
お互いに愛し合ったけど
それが周りにバレると離れるしかなくて
それでもそれぞれ上手くいかなくて
っていう2人のお互いを想い合う心とそれを許さない現実のバランスがとても良い
ハッピーエンドにもバッドエンドにもなってないし
2人は離れたままだけど深いところで繋がり合っている感じが人間愛みたいなものを感じさせますね
2つ目は戦争で育んだ愛
最後の話まで父親の重之は最低なやつみたいな感じだったのに
重之の過去を知ると好きになった
戦争に行くから子どもを残すためだけに結婚させられて
戦争に行った先で出会った娼婦の美珠と愛し合うようになったのに娼婦という立場が
とても弱いから上手くいかなくて
それを日本に帰ってきてからも後悔し続けている
それまでの章の重之のキャラクターはそのままでその内面が描かれることで
そこにあった苦しみや葛藤が感じられる仲間とても良かった
戦争はロクでもないよね
恋愛的な愛について多く書かれている小説みたいな書き方をしてしまったんですけど
それだけってわけではもちろんなくて
この小説に書かれている内容は多岐に渡るので
飽きることなく読めましたね
素敵だ