あらすじ
高校生である兄の正気の部屋を漁る中学生の弟の修作。修作は正気が隠していたアダルトビデオなどを兄の不在の間に見つけて閲覧する。正気はそんな修作の行動にイライラしてきて修作に復習をしていくが…という話
正直、羽田圭介さんの作品って評価されてるものもあまり面白いと思えたことがなくて
勝手に文章の美しさみたいなところで評価されてると思っていたのでまだ自分には早いのかなって思ってたんですけど
本作はめちゃくちゃ面白くて
じゃあこれまで自分が読んできた話何だったんだよって思うのは思うけどそれはまた別の面白さなのかなあ
とにかくこの本はめちゃくちゃ面白い
面白さについて3つほど
1つ目は兄の復讐方法について
自分のテリトリーに踏み込まれたことに対する怒りから弟に復讐するんですけど
その復讐方法が直接的なものじゃなくて
弟がテリトリーに足を踏み入れることで発動するようになっていて
弟がそれに引っかかるのがとても爽快
2つ目は弟の狂気と兄弟の過去について
弟が兄の知り合いであった青野といつの間にか繋がっていて
それによって狂ってしまう展開と狂った状態で初めてわかる兄の昔の言動がわかる
っていうのが展開として自然だけど
それによって兄弟のお互いの思いが一気に表出するのが流れとしてとても良い
3つ目は最後の展開について
物語自体は終わってるのにまだ話は続いて
そこで一気に全てひっくり返る
兄が正しい人として進む物語の展開であったものがすべて壊される最後が
この作品の不穏さを増しつつ現実とも繋がっているような印象を与えるのがもう良い以外の言葉が出ない
いやーこれ書いたの高校時代っていうのが衝撃
確かに高校生の方がリアリティは増すだろうけど
それよりも構成力がヤバい
こんな構成できるのかという衝撃が凄まじかった
もっといろんな作品読んでみようかな