中村文則さんの初期の頃の作品
初めて
話は、事故で付き合っていた彼女を亡くした主人公が瓶に彼女の指をホルマリンにつけて持ち歩くほどに彼女の存在に依存していく。主人公は周りの友人には彼女が生きていて理想通りの生活をしているように嘘をついて過ごしていき…という話
まずこの『遮光』ってタイトルが直接的な表現ではないのにこの作品のすべてを象徴する言葉として正解だって言いたくなる
それくらいしっくりくる
言葉のイメージ的にも重み的にも
作品の感想としては
めちゃくちゃ好きだなとは思うんですね
亡くなった存在に依存して、その存在をあたかもまだ続いている存在として虚言を連ねていくのも切なくて、でもわからなくはなくて
これは純愛かそれとも狂気かみたいなことが書かれていたんですけどね、この本の紹介に
限りなく狂気に近いけどこれを狂気と言う人にはなりたくないなって思いますね
で、まあ面白いんですけど
主人公の内側の構造がめちゃくちゃ自分みたいでそこが読んでて親身に感じすぎて苦しくなる感じはありましたね
湧き出てきた言葉とか思いの中で
自分の中だけで処理したものと
外側に向けて発信したものの
温度差がとても大きい感じがして
それがあんまり認めたくない自分の性格に似ているんで何とも言えない気持ちになりましたね
たぶん主人公と全く同じ状況に置かれたら自分も似たようなことをする自信があるなって思いますね
とりあえず罪は犯すだろうなって
生きることの苦しさとか失って初めて気づいた存在の大きさとかそういう心情が切迫感をもって突きつけられて
読んでよかったなって思いましたね
中村文則さんの作品少しずつ読んでいこう