芥川賞受賞作
話は、
主人公の澄人はやりたいことのない日々を送っていたが、たまたま俳優の募集を見て応募し、寮に向かうことにする。
仲の良かった天と別れを告げて行った谷と呼ばれる稽古場兼寮では先生と呼ばれる人気脚本家が俳優脚本家志望の若者を指導していた。
そこで澄人は、日常生活から自分たちで何もかもを行う生活をしていくという話
この話は筆者の体験談をもとに書かれているんですけど、これを体験談として書いてるっていうのがそのまま現れた文体で書かれていますね
でも話のなかで出てくる主人公はその時の行動をしてるんで
リアルなのに生き生きとしてなくて
変な立体感があって
行動と感情が釣り合っていない雰囲気を醸し出しているんですけど
それがその時の主人公そのものを表していてっていう言葉で伝えるのが難しい感覚
内容については、
先生という絶対的な権力者のもとに1年生と2年生が従っている様子が不気味といえば不気味なんですけどその感じが中学生とかの部活とか小学生の頃の習い事とかの構図と重なってる感じはしますね
だから感覚としてはわかりやすい
しんせかいっていう1つの閉鎖空間でしか通用しないような規則に縛られているのが馬鹿馬鹿しいように思えるけど
それが人の共同体全体を皮肉っている感じがして好き
閉鎖空間の内と外での時間の流れが違うことも切なさを感じさせるけど
寮に入っている人と外の人であったり、
学生の道を選んだ人と社会人の道を選んだ人であったりと、
立場の違う人の違いも描かれているような気がして
すごく寂しいような気持ちにさせてくれる
無我を描くのが上手い気がする
もっとフィクションに近い話はどんな感じなのかなって思う
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