あらすじ
東日本大震災で被災した高校生のサナエは、震災があった時、弟を背負って高台まで逃げた。しかし、避難所に避難したときに母親の姿は見当たらなかった。サナエはマスメディアに反感を持ちながら、マスメディアが求めるエピソードを話し続け、母親のいない現実から逃避するが…という話
めちゃくちゃ問題になっとった作品やんけって買った後知ったわ
何だろうな、とても悲しくなった
この本の良さってしっかりとあるのにそれを引用の方法がまずくてみたいなので問題になってんのが筆者にも問題はあるけど出版社もなって
何より震災を利用しようとしていることへの反感を書いた作品でこれはな…って
でもちゃんと良いところも多かったから良いところについて2つほど
まず1つ目は被災したサナエのメディアへの反発と現実逃避について
序盤のサナエの心情に関しては
被災地に来るメディアの人たちに対して勝手に人を売り物にしてふざけるなっていう思いを抱えていることがずっと書かれていて
その思いとは裏腹に自分を売り物にしてメディアに出続けているんですけど
それが母を失ってしまったかもしれない喪失感を埋めようとしている行為で
現実逃避をするためにしている
っていうこの心の動き方がとても立体的で
ちゃんとサナエの心に向き合って描かれているのがとても良い
2つ目は近所のおばさんの話とその過去について
近所のおばさんがサナエに対して説教っぽいことをするんですけど
おばさんの過去も踏まえたところから意見を述べていて
しかもおばさんの行動はサナエと弟のことをちゃんと考えているところが伝わってくるから
説教がくどくなくて
ちゃんと信頼のできる大人として描かれたますね
意見だけが一人歩きしていなくて
時間の流れとか人の性格に沿って述べられているのが好き
北条裕子さんは人を1人の人間として描くことがとても上手な印象を受けましたね
だからこそ盗作騒動とかで次回作発表しづらくなってないと良いな