芥川賞受賞作
あらすじ
家で祖父を介護する主人公はカーディラーの仕事をやめて中途採用の就職活動中。母は祖父の介護を出来るだけしないことで祖父の身体を鍛えさせるが、主人公は自らの身体は鍛えながら介護に関しては過度に干渉して祖父を弱らせて尊厳死をさせようとする、という話
羽田圭介さんの作品は、
『ミート・ザ・ビート』と『走ル』を読んだことがあってどちらとも読んだ後に困惑の感情が強くて捉えきれてない感が強かったんですけど
今作に関しては一番に面白いって思えたからよかった
羽田圭介さんの作品でちゃんと面白いって感じることができて自分の成長を感じますね
なお、これは『黒冷水』よりも先に読んだんでね
どこに面白さがあるかっていうと
1つ目は、肉体と欲の対比ですね
主人公は28歳だから身体も若くて欲も強くてまさに若者っていう感じが強いんですけど
一方の祖父は身体がだんだん弱っていてできることが少なくなって何を考えているかもわからないし、いつ死んでもおかしくない状態で
その対比が描かれていて面白いんだけど
一概にそうとは言えない
2つ目は、介護観の違いで
母親は祖父に色々させることで長生きをさせようとしているのに対して主人公は尊厳死を実現させるために祖父の代わりに色々しようとしていて
どちらが正しいわけでもないですけど2人ともが祖父のことを考えてしている行動で
その結果とる行動が正反対っていうのはなんだか不思議ですけど面白い
特に尊厳死を手伝うっていう発想はなかったからちょっと考えさせられる
いやーちゃんと面白く読めてよかった