あらすじ
姉が自殺したということを受けて会いたいと連絡を受けた大学の同級生の光介と巴香と純吾と珠希は別荘に行く
そこで自殺した姉をもつ妹との会話を通してそれぞれの人間関係を変化させていく
というような話
この本は時系列が異なる3つの時期の話からなる3部構成になっていて
大半が会話で占められている作品だから
捉え所は難しいけど
人間性とかはちゃんと描かれてますね
とにかく李龍徳さんは人の醜さを描くのが上手
全編をまとめるとタイトル通りに愛すること、理解すること、愛されることになるなぁって思います
この話の面白いところを2つほど
まず1つ目は自殺した姉と4人の関係性
自殺した姉の日記には4人が素晴らしい人間のように描かれていたが、4人はあまり自殺した人間について覚えていないし
妹の涼子が4人を呼んだ意図もそれほどはっきりしない
そんな曖昧な関係性しかない人たちで交わされる会話っていうのが第1部で
非日常とほとんど他人の死という場面設定で表れてくる人の醜さというか芯の部分みたいなものを描こうとしてるのかなって思いますね
4人が別荘に行っているのも涼子が4人を呼んだのもどっちもちょっと気味が悪い
それぞれの対立は些細なものだけどそれが人の死を近くにあってもそれを意に解さない人の冷たさを感じさせてくれる
2つ目は珠希と純吾と涼子の関係性
第2部では涼子と純吾の関係性が変化していて
さらに珠希は子どもを置いて出て行こうとしている
そのような状況で繰り広げられる会話劇は誰の味方にもなる気にならないくらい全員が醜い
しかも赤ちゃんでさえ活力がすごいものとして描かれているから
人間関係の難しさを感じる
珠希は魅力的な人間として周りにもてはやされていたのに
その姿が無様な感じがして
1人の人が1人の域を出ていない感じがとても伝わる
本当に綺麗事が一切ない世界観
李龍徳さんの作品は読んだ後不快な感情が渦巻くんですけど
でも読みたくなるし
他の作家さんでは味わえないものが多い
まだ代表作読んでないから読まなきゃな