映画化されたjuJoeのボーカル平井拓郎さんの作品
あらすじ
憧れのバンドはthe band apart。川嶋は3ピースバンドのボーカルギターでフェスの集客力をそこそこ持っていた。昔から憧れていた立場になっているはずなのに何か違って、何かズレていって、アルコールと薬に頼るようになっていってしまって…という話
あらすじが上手く書けない…
時系列がバラバラだから綺麗なあらすじ書こうとすると違和感ある…
平井さんの作る曲は何もオブラートに包まずに痛々しいほどに直接的に人間を描いているものが多くて
この作品はそんな平井さんの苦悩が詰め込まれている感じがしましたね
読む前はもっと毒々しい言葉が並んでると思っていたんですけど実際はちゃんとストーリーを進めることに重点が置かれた書かれ方だったので読みやすかった
この作品の面白かったところを2つほど
まず1つ目はストーリーの断片の繋ぎ合わせ
たぶんなんですけど一般的な作家さんに比べると読んできた本の数が少ないのかなっていう印象を受けて
っていうのは一つひとつの描写の掘り下げ方があんまり深くないし
物語の展開があるあるな感じでは全くなかった
ただそのことと本作の主題との適合性がとても高い
川嶋の無気力感を表すのには最適な構成だから
意図的ではないんだろうけどそれがこれまで読んできたどの本を読んだときとも感覚が違って
小説に迎合しすぎていない感じが新しい気がしましたね
2つ目は各時系列ごとに支えてくれる人たちの描写
川嶋を支えてくれてきた女性がユリ、ユキナさん、美咲という3人がいて
一般的な小説だとその3人との描写の割合が高かなると思うんですけど
特にユリとの描写は関係性の深さの割にめちゃくちゃ少なくて
切なさを描いているんじゃなくて描かないことで切なさを表現しているのが
わざとらしくなくてリアルでとても好感
正直な作品だなって思いましたね
最近SNSで人気になった方々の作品を読むことが多くてそれに近いのかと思いきや読んだ感じが全然違って
ちょっと不思議な読書体験だった