あらすじ
同じ家に住んでいる妹の奈々瀬と兄の英則。犬の殺処分所で働く英則は、家に籠っている奈々瀬を屋根裏から観察し続け、奈々瀬に対する復讐を考えている…という話
本谷有希子さんの初期の作品の特徴が詰め込まれているような作品
血のつながりもなく、復讐のきっかけとなった事柄も曖昧な2人が
復讐をする機会とその内容を考える側と復讐を待ち続ける側に分かれて互いに依存し合うような関係性を続けている
っていうのが面白い
人間関係とか人間愛について追求していて
既存の人間関係に括られない関係だから関係性について考えさせられる
外側から見たらマイナスな関係だけど内側では必ずしもマイナスじゃないよなって思う
この話では
奈々瀬と英則の特殊な関係のなかに1組の男女が少しだけ入り込むけど
少しだけ他者が入り込むことで2人の特殊性と奇妙さが強調される
特に奈々瀬と番上さんとの関係性を通して奈々瀬の奇妙さが浮き彫りになることで
2人の関係性の一筋縄ではいかなさみたいなのが出てきて面白さが増すなって思いましたね
全体を通して言葉遣いを工夫しているのか
変わった言葉遣いが多いのがまた楽しい
やっぱり奇妙な話を書くには変わった言葉を選ぶのが小説の空気感をまとまったものにするんやろうなって思いましたね
本谷有希子さんの作品でもトップクラスに面白かった