初めて読んだ村上春樹さんの小説
短編集
まずね、この本の話の前に
村上春樹さんって名前はもちろん聞いたことあるけど本当にすごいのかと
っていうか小説ですごいってどういうことだと
どうせたまたま注目されてるだけだろと
どの程度のもんかいのう村上春樹っちゅうのは
っていうような挑戦的な色眼鏡全開で読んだんですけど
すごい思ったのと違う感じで戸惑いましたね
なんだろう、もっと洒脱で、わかりやすく面白いような感じだと思ってたんですけど
素朴な印象が強くて
音楽でいうとメジャーデビューした後なのにずっとインディーズ感があるような
大衆相手にシフトチェンジせずに青臭さとか未熟さを残してる感じがして
、、、面白かった
以下特に好きだった3つを
1つ目の話は、一度大学時代に身体の関係をもった相手の短歌の話
相手について深く言及することもなく
人生で微かな関わりを持った相手の外見とかエピソードじゃなくて創作物がずっと気持ちに残ってる気持ちを書いていて
少し不思議
2つ目の話は、昔の友人にピアノのコンサートに誘われたがそのコンサートはなかった話
あらすじでいうとこういうしかないけど
自分がふとしたきっかけである日ある場所に訪れた記憶とその運命性、それに相反する凡庸性みたいな体験が書かれてて不思議
3つ目は、
引きこもりの恋人の兄に本を朗読させられて
それを良いって言われてそれから兄とのやりとりがあって、数年後久しぶりに会った時に兄と妹の状況が変わっててっていう話
引きこもりの兄と活発な妹の将来が皮肉めいてるような雰囲気で語られていて
それで兄との接点がたいして特技でもなかった朗読というわずかなものでしかなかったのに確かに関係性としては成り立っててっていう感じが不思議
どれも一枚の写真をもとに連想して作ったような
印象的な刹那を捉える小説になっていて
確かに他の作家さんでは見られない特徴を感じましたね
起承転結とかは基本的になくて
日常を書いているはずなのにそれが纏う雰囲気が少し異質さを帯びていて
何回も読んだり、めちゃくちゃ時間かけて読んだりすることで印象とか捉え方も変わる余地もあるだろうし
人が味わう小説としてはとても適している印象でしたね
ノーベル賞候補もわかる気がするなぁ
言語の壁問題はありそうだけど