遠野遥さんの最新作
話は、社会から隔離された学校が舞台。そこでは1日に3回のオーガズムに達することで成績が上がるとされており、超能力のテストで成績が決められていた。主人公の勇人は同じクラスの真夏の部屋に通っていたが、ある日真夏が上のクラスの樋口と付き合うようになって…という話
めちゃくちゃ好きだーって思います
たぶん『破局』と『改良』よりも楽しく読めたかなって
催眠をする未来、翻訳部の先輩の小宮さんと部長の高木、翻訳部の後輩の海、人間味のない警備員の島田…などいろいろな立場の登場人物が出てくるんですけど
それぞれの人としてのキャラクターがはっきりしているので自分でもちゃんと区別できて読みやすかった
この本の面白さはいっぱいあると思うんですけど3つくらい挙げようかな
まず1つ目は
教育制度への皮肉ですね
これはこの本の主題だと思うんですけど
先生が絶対的な立場で
生徒は成績による階級制度で支配されてるところがあるし
魅力の欠けた登場人物の方が上のクラスにいることが多くて
魅力のある登場人物が下のクラスにいるみたいなのも
良いですよね
2つ目は
ときどき差し込まれる架空の話の面白さですね
主人公が翻訳部で翻訳している本に出てくる恐竜の話とか
真夏が脚本をした苺の人間の話とか
未来の洗脳で出てくるお化け屋敷で働く人の話とか
それぞれが単独で面白いし、ファンタジーっぽいこの本の雰囲気からさらにファンタジーに行くものもあれば現実的なものもあって
その幅の広さでさらにこの本の世界観の軸みたいなものがはっきりする気がして良い
3つ目は
やっぱり洗脳についてで
未来はちょっとショックやったけど
主人公が洗脳にかかりやすくて
下のクラスの海にはかかりにくくて
洗脳をしている未来自体にも変化が表れてっていうのがもうこの本の言いたいことを全部言ってる感じがありますね
遠野遥さんの作品で面白いって言いたくなりますね
どれもちゃんと面白いし、いろいろ読み方はあるはずなのに読みやすいし
いやーすごい人だ