全体で言うと
これまで読んだ短編集のなかで1番好きかも
ってくらい面白く感じましたね
とても有名っていう方ではないと思うんですけどそれが不思議なくらいで
絶対もっと評価されるべき人だと思いましたね
『マイ・ハート・イズ・ユアーズ』は、
夫婦の話で、子どもを生もうかっていう雰囲気なんですけど、夫との別れみたいな描写が続いてちょっと違和感あるなって読み進めるとその雰囲気だった衝撃の展開がある感じですね
ちょっと村田沙耶香さんっぽさがあって
リアルなのにファンタジックな世界観で好きですね
『愛犬』は、
家が白で統一された臼井さんの家には病気で首の辺りが汚くなった犬がいた。しかし数年後に訪ねると犬はいなかったという話になっている
というような話で
大人と子どもの見ている世界が違うのか
それとも大人が都合良く物事を歪曲させようとしているのかというような気味悪さを感じさせる話
『ドレス』は、
彼女が急に鉄の塊にしか見えないイヤリングをつけていた。それはドレスというブランドのもので、ドレスがやがて人気になると鉄の塊にしか見えないアクセサリーが街中で溢れていて…という話
トレンドとか流行を皮肉ったような話で、
この話も人によって見えているものとか見え方とかが異なっていることを考えさせる話
でも正直ファッションとかでよくわからんのあるよなって思うとこの話に描かれているのかそれほど誇張でもないのかなとも感じましたね
『私はさみしかった』は、同じクラスのカネコフは毎日痴漢の被害に遭っている。また、私が住むマンションにはゲイの2人組がいる。私は、カネコフに痴漢をしたり、ゲイの2人組に挨拶をさせたりしようと企み、実行しようとするが…という話
自分が意識としてもっている自分の存在と他者から見られている自分に大きな溝があることを自覚するような話で
読後感は確かにさみしさを感じさせるものがあるなって思います
人の寂しさの根源を描いている気がする
藤野可織さんってあんまり名前自体は聞くことがなかったんですけど
こんなに面白いんだって思いましたね
どの話もハズレがなくて
いやー本当にもっと世に知られるべきだと思いましたね