芥川賞受賞作
話は、東京から田舎に引っ越してきた中学生の主人公が通い始めた学校で特有の遊びだったり、悪ふざけだったりをしていく。そこにはいじめにも近いような上下関係が確立されていて、主人公は客観視しながらも下にならないように上の立場の同級生に気に入られていくものの…という話
芥川賞って正直わかりやすい変化が起こらない話とかもまあまああって
そういう話も良いけどめちゃくちゃ好きってわけじゃないんですね
ただこの話も途中までその雰囲気あって
このまま終わっていくんかな
って思ってたら
最後の最後がもうめちゃくちゃで
激しくてグロめで
とても面白かったですね
この話のなかで描かれている特徴的なところというと
田舎の共同体の構成要素と転勤族の子として育っている主人公の達観ですね
田舎の共同体がめちゃくちゃ厄介なのはとても納得できて
第三者視点の人に見られずに成立してるから正しいか間違いかなんてのは二の次で
そのなかの権力者とか中心人物がどうかってところで物事が決められることが多いんで
変な方向に歪んでるような集団の育ち方をするんだろうなって
それがはっきりと描かれていて
田舎は良いなんて夢物語だっていう感じがしてとても好き
転勤族の子が達観してるのも
一時的でその場凌ぎの人間関係を形成することがゴールになってるから
客観的な視点が強くなって
場に良くも悪くもないような立ち位置を求める感じを反映していてよかった
最後の最後で主人公に降りかかるものが
望んでいた展開で
正直ちょっとスカッとするものがありましたね
芥川賞らしくもありながら面白さもあるのが納得の芥川賞受賞作って感じでしたね