松井玲奈さんの初めての小説集
全体的に食がテーマとなっていて
自分には相性の悪いテーマなんですけど
楽しめたものもいくつかあったのでそれを紹介
1つ目は
『ジャム』という話で
夜に家に帰ってくるお父さんは何人もいるけど朝になると1人に戻る。だけど周りの大人たちはそれを見えていないように振る舞う。ある日同じクラスの裕くんがもう1人の裕くんとともに登校してきて…という話
2つ目は、
『オレンジの片割れ』という話で
人間には体の中にオレンジがあってそれを自由に出し入れすることができる。結婚とはオレンジをピッタリ当てはまる相手を探す作業で、主人公はオレンジのピッタリ当てはまる相手を求めていくが…という話
どちらの話も良かったんですけど面白かった点をそれぞれ1つずつ
まず『ジャム』の方は、
大人が子どもに隠すものについて言及していて
それを庭に置いてあるオブジェと関連させていることで
子どもの世界からも見えるし、近い存在でもあるものを大人が必死に隠そうとしているのが
大人の汚さみたいなものとも結びついていて
でも子どもからしたら真実を知った時は恐ろしいもので
っていうのが現実世界の色んなものに近い感覚を抱いて
それをファンタジーな世界観に落とし込んでいるのがとても綺麗だなって思いましたね
『オレンジの片割れ』は、
恋愛的な相性だったり、自分の生き方であったりっていうのを目に見える形、この話でいうとオレンジに落とし込んで
それを使いながら描いていくっていう発想が面白かった
オレンジがピッタリ合う相手が運命の相手なんて発想ないなって思って
でも最終的な展開としてはその象徴するものっていうのがオレンジである意味合いを含めたものであることもとても良いですね
発想が一人歩きしていなくて
食がテーマでも楽しめたからもっと他のテーマの作品も読んでみたいですね