中村文則さんのデビュー作
話は、主人公が河川敷で死体とその横の銃を拾うところから始まって、銃という非日常な殺人のための道具を日常に取り入れた主人公がその銃を宝物みたいに扱っていくうちにそれにどんどん魅了されていく…という話
まず第一に
『遮光』とめっちゃ似てるやんけって
他の人がこれ書いてたら間違いなく盗作ってみなされるだろうなっていうレベルで似てて
主人公が施設の出である大学生だっていうこととか非日常的な狂気的なものに愛着を感じて持ち歩いていることとか周りから見たらそれほど根暗な感じではないこととか
あと展開も似ていて
物語の途中で主人公が実際に銃を使ってみようっていう発想になるんですけど
その銃を使うときの身体と心の感触というかがとても苦しくて
その後殺人計画を立てるときも本当に等身大の緊張感で書かれていて筆者の犯罪歴を疑いますね
隣の家で子どもを虐待している親に対して憤りを感じていたり、子どもに対して親身になろうとしたりする場面があるなかでの銃への依存がもう切なくなるんですよね
人は過去にトラウマがあるところに対してとても敏感になるところもあれば鈍感になるところもあると思うんですけど
その結果正義感があるのに特定の犯罪に対しての罪悪感は希薄なのが辛いなって
でもそういうことはありうるよなって
日常の中の非日常に魅了されて惹かれていくのって薬物依存とかでも同じなんだと思うんですよね
危うさに惹かれるところが
その依存がどんどん酷くなってやがて本当に取り返しのつかないところまできて
不可抗力だったり、ほんの一瞬の緩みで
その線を超えてしまうっていうことで
色んな犯罪が起こってるっていうのを書いていてすごい
それを加害者視点で書いてるからより怖いし
これは才能だわって思いますね
あと2作品ほどめっちゃ似てるらしいんでね
読まなきゃ