活字中毒者の禁断症状

引きこもりが読書感想文を提出するブログ

【読書感想文】ノルウェイの森 / 村上春樹

村上春樹さんの代表作

積読歴4年で読んだ


あらすじ

高校時代の親友であったキズキ君を自殺によって失ったワタナベは大学進学を機に東京に上京し、寮生活を送る。ある日キズキ君の彼女であった直子と再会し、ワタナベは直子に惹かれていくが、直子は精神を病み、ワタナベを愛することはできない。直子は自身の治療のために山の奥の療養施設でレイコさんと暮らしていく。一方ワタナベは直子のことを愛したまま、緑という女子学生と仲を深めていく…という風に続く話


まず第一に思っていた雰囲気と結構違った

こういうタイプの小説って嫌な奴が出るか

主人公が嫌な奴か

っていうイメージだったのに嫌な奴は1人も出てこなくて

登場人物それぞれがそれぞれの事情を抱えながらも懸命に生きていこうとしていて

エネルギーの溢れる小説という印象でしたね

性描写が多いのは確かにそうだけどこの本読んで初めの感想絶対そこじゃない

全体的に切なすぎるし


色々と書くことはあるけど

面白かったところを3つほどに絞って

まず1つ目は

ワタナベと直子、キズキ君の関係性 

ワタナベとキズキ君はもともと親友同士で

ワタナベと直子には直接的に深い関係はなかったのに

キズキ君が自殺したことで2人ともキズキ君の死をきっかけにした哀しさとか孤独とかを抱えて生きていて

惹かれ合うんだけど直子の心はキズキ君の死が強く横たわっているからワタナベを愛することはできない

っていう切なくて複雑な関係をよくここまで書くことができるなって

村上春樹さんがというより、1人の人間が


2つ目は

ワタナベと緑、ワタナベと直子の関係性の違い 

ワタナベは緑と初めは友人として接していて

その関係性もドライな感じで

ワタナベと直子が精神的にも繋がっているような深い関係性であるのに対して軽い印象を受けるんですけど

直子と会っていないうちに緑との関係性を進めなければ会いにくくなってしまって

っていう複雑な事情が切迫感をもって伝わってくるから

直子のことを考えるとちょっと不憫な感じがしてしまうけどでもなぁって思う

人間関係の難しさを考えさせられる


3つ目は

永沢さんとハツミさんとの関係性

ワタナベと永沢さんとハツミさんの関係性は高校時代の直子とキズキ君との関係性にちょっと似てて

でも永沢さんは人間的にとても冷たいものを抱えていてハツミさんを傷つけることに無自覚でっていう関係なんですけど

ハツミさんはめちゃくちゃ良い人で永沢さんも悪い人ではないけどハツミさんの傷に気がつかないことで崩壊に向かうのが苦しい

ワタナベ目線だと何もできないのもまた辛い

結構キツかった、展開が


人間関係の難しさをアメリカに大きく影響されていた当時の世相も踏まえながら描いていて

読むのが苦しいところもいくつかあったけど

文学の力みたいなのを強く感じた

村上春樹さんが人気なのがとても腑に落ちた

色々読んでみたいな