文藝賞受賞作
あらすじ
国語教師を定年でやめた父親が一人暮らしの女の家に通っていると母親に連絡を受けたミナミが父親を尾けると、父親は4人の女からおしかくさまと言われる神様の遣いとして迎えられていた。おしかくさまはお金の神様で1枚1万円もする無紋のおふだやおしかくさんという方法で広く信仰されていたのだった。ミナミはおしかくさまに興味を持つようになり…という話
宗教的な話はときどき読むんですけどお金について徹底的に考えるような宗教の話は初めて読んだ
題材としての魅力は正直高くはなかったんですけど話の進み方とか展開とかがとても心地よかった
話の本筋とは関係ないけれど面白かった点を2つほど
まず1つ目はミナミの興味関心について
ミナミは仕事を辞めて離婚してという状態にあって
そこでおしかくさまに興味を持つのは自然な気がするんですけど
それよりもニュートリノが光より速いんじゃないかというニュースをとても気にしているのがよかった
ニュートリノが速いことで光が速いという常識が覆されるのではないかという危惧が
ミナミの立場を象徴しているものに思えて一気にミナミという人間の立体感を増してるような気がしましたね
2つ目は
無紋のおふだと最後の展開
結局おしかくさまは詐欺みたいな展開になるのかと思えば一概には言えないような展開になるし
その展開に無紋のおふだが深く関わっているのが
物語の展開としても綺麗だし、情景も浮かびやすい展開を創り出してくれているのが文学としてとても良い気がしましたね
良いとしか言いようがないなぁ
正直それほど惹かれた作品ではなかったんですけど
やっぱ文藝賞受賞作だけあって魅力的な話でしたね
綺麗だった