近年の村上春樹さんの代表作
あらすじ
数学の塾講師である天吾は趣味で小説を書いている。ある日、編集者の小松からふかえりという少女が書いた「空気さなぎ」という小説に手を加えることを依頼され、ベストセラーを作り上げるが、その結果「さきがけ」という宗教団体が動き出して…という天吾視点の話と
老婦人に依頼され、男を苦痛なく殺害する仕事をこなす青豆は自らの住む世界が少しずつ変容していることに気がつく。そんななか、老婦人のもとにやってきた10歳の少女が強姦された形跡が見られることで老婦人と青豆は怒り、その強姦した相手の殺害を計画する。それは「さきがけ」という宗教団体のリーダーで…という青豆視点の話が次第に重なり合う物語
いーや、なっがい
単行本3冊分で1700ページ弱なんですけど
本当にこれみんな読んでんの?って思いましたね
面白いところはいっぱいあるんですけど正直Book2までが面白かった
もちろんBook3も面白いは面白いけど不明な謎が多かったり、急に出てこなくなる人が多かったりで何となく消化不良感もありましたね
では具体的に面白かったところを3つほど
まず1つ目はふかえりという少女の特別性
ふかえりという少女は疑問符がつかない質問の仕方をしたり、答えたくない質問には自然に無視をしたりと俗世間からはちょっと離れた存在として描かれていて
その少女から語られたリトルピープル、空気さなぎ、2つの月のある世界などの幻想的なものも美しくて
とにかく魅力的な存在
その少女の生涯、父親との関係、天吾との関係性のどれを取ってもふかえりはふかえりのままの空気感を保ち続けている静謐さみたいなのがとても良い
だからこそ最後の辺りちょっと引っかかったけど
2つ目は青豆と天吾のすれ違いと重なり合い
青豆と天吾はギリギリのところですれ違っていて
互いに胸に秘めた心情を抱えていたことによって2人の運命が決まってしまっていて
もがくことでさらに運命が変わって
そこにはいろんな障壁があってみたいな構造が構成としてとても理解しやすい
この作品のすべてを理解しようとするのは大変だけど
最低限楽しむためにはここに注目しておけばいいみたいなのははっきりしていて良いですね
3つ目はさきがけと空気さなぎの謎
目に見えない空気中の糸を紡ぎながら作られる空気さなぎの正体や
宗教団体のさきがけのリーダーの騒動後の動き方とこれから
についての言及がほとんどと言っていいほどなくて
結局空気さなぎという話に出てきた要素が何一つ解決しないまま終わっているんですけど
この辺りの意味の捉え方が読み込んだ人用の面白さなのかなって思います
自分は本当に何一つとして捉えられていないので何も言えない
この辺りが続編が待たれる要因だと思うんですけどそれについて全部説明するための話が出てもなんだよなぁと思います
面白かったは面白かったけど
ちょっと読むのに苦労しましたね
村上春樹さんのもっといろんな話を読むとより咀嚼できるかなぁ