あらすじ
かつて最も愛した人がSNSに知り合いかも?と上がってきた。彼女はエクレア工場で薄給で働いていた頃からテレビ番組の美術製作会社で忙しく働くまで付き合っていた人だった。整った容姿ではなかったのに忘れないその人について主人公が思い出に耽っていく…という話
燃え殻さんってブロガーだと思っていたんですけど
Twitterやエッセイが人気?の作家さんなのかな
作品の雰囲気が『真夜中乙女戦争』のFさんと似ていて
何が似ているのかを考えると
一時的な流行語みたいなのを多用しているところかなって
それはSNSを上手に使う人だからその時その時の言葉へのアンテナが張られているのかなって思いますね
めちゃくちゃ深く刺さる世代っていうのは限られると思うんですけどそれでも誰が読んでも面白いところまで持ってこられるのは技量なのかなぁ
この本の好きなところは
色んな種類の人間関係の盛衰みたいなのが書かれているところですね
友人で同僚の関口
会社が上手くいき始めたときに知り合ったスー
そして1番愛した人である彼女
その3人との人間関係の最も上手くいっていたときと終わりを告げるとき
っていうのがそれぞれについて描かれていて
ちょっと切ない気持ちにもなるけど
綺麗な言葉で装飾されることでとても綺麗な思い出を受け取れますね
あと泥臭く働いていた時の思い出である方が人との関係性が深く生き生きと描かれていて
バーで飲んだくれていたり、ヤクザっぽい人に助けられたり、彼女と旅行に行って現実逃避しようとしたり
そういう描写がいちいちエモい
エモいなんて言葉ある時代の話じゃなさそうだけど
でも1番しっくりくる言葉なんよなぁって
こういう種類の小説って分類が難しいんですよね
純文学っぽくもあるんですけど大衆文学っぽくもあって
それだからこそこういう種類の小説でしか感じ取れない成分みたいなものがあって
ときどき読みたくなるよなぁって思います
燃え殻さんは結構著作があるみたいだし少しずつ読んでいこうかな