綿矢りささんの小説では最新作
あらすじ
凧揚げが趣味の女子大学生海松子には、何でも人の真似をして取り込む萌音という唯一の友達がいる。海松子は萌音と大学生活を送っていたが、幼馴染の男の子と社会人の男性から同時にアプローチを受けて…という話
とても綿矢りささんらしい作品な気がしましたね
『私をくいとめて』に近いかな
全体的には楽しめたんですけど
本物の自分の殻に閉じこもってるような自分みたいな人間からすると
海松子があまりにも世間一般的な感覚をもっていることへの違和感はあったかなって思いますけどね
行事や季節感を重んじるところとか
この本は読みやすいように書かれているんでストーリーだけでも楽しめるようにできてると思うんですけど
考察の余地が残されている部分も結構あると思うんですよね
凧揚げ、オーラの音、萌音の存在…とか
海松子が凧揚げに惹かれているのが上手く咀嚼できないんですよね
子どもの遊びの感覚をもったまま大人になったって言うんなら凧揚げとはならないだろうし
風を受けることで高く上がることに意味を見出そうとしても何の比喩なのかわからないし
今のところ1番しっくりくるのは
季節感も子どもとか大人とかも無視できるほど海松子が自分の状況を客観視しない性格であることの象徴かなって思うんですけど
まだなんかある気がする
オーラの音に関しては正体不明のまま終わるんですけど
結局最後に発表会をすることになったように
海松子が社会に順応してきたことを非科学的に表しているものとか
海松子が社会に順応してきたことで得た人を引きつける力みたいなものかなって思います
萌音という存在も他人を取り込もうとする人として描かれているのは
周りに流されない海松子との対照として描かれていると思うんですけど
彼女特有の心情が見えてきづらくて
不安で真似するというのにしては勝ち気な性格だし
悪意から発せられるにしては海松子のことを心配しているようなところも多くて
わからん
綿矢りささんの作品どんどん読みやすくなってるね