本屋大賞候補作
話は、
建築士の青瀬稔は吉野陶太という依頼人から自分の住みたい家を建てて欲しいという依頼を受けてY邸という家を建てて業界で名前を知られていた。青瀬はY邸に人の住んでいる様子が見られないという連絡を受け、Y邸の様子を見に行くとそこには一脚の椅子を除いて何一つ置かれてなかった。建築士の青瀬は吉野一家はどこに消えたのか、という謎を追っていくという話
という話とは言ってるんですけど
主軸にこのミステリーっぽい謎があって
他に自身の離婚の話とか、幼少期の話とか、建築事務所が請け負ったコンペの話とかぎ入り組んでできている感じですね
単行本で426ページで盛り沢山の内容ではあるんですけど
それぞれの要素が綺麗に完結するんで長編苦手でも読み直すところとかなく一回で割とすんなり話が入ってきましたね
あんまり似てるとかいうのもどうかと思うんですけど最近読んだなかでは圧倒的に『罪の声』と近いところがあったかなって思います
話として面白いところも多いんですけど
とにかく建築士としての詳細がめちゃくちゃこだわってる気がして
実際にコンペの設計の詳細を多くの文量を割いて書いていたり、コンペの仕事の割り振りをそれぞれの得意不得意に合わせて振っていたり
気合いがすごい伝わってきますね
話の1番面白いところは
所長の岡嶋がコンペの権利を取ってきたことを巡る事件のあれこれで
っていうのも
この本ってたぶん岡嶋に起こるいろいろがなくても十分成り立つ話なはずなのに
そこでさらに盛り込んでくるあたりに著者のこだわりも見えるし
そこでもちょっとミステリー要素があるから話の中弛みみたいなのがなくなるし
よく考えられてるなって思いますね
タウトの話を通して
建築士という仕事の生涯についても学ぶことができるし
色んな読み方ができる本でしたね
横山秀夫さん初めて読んだから他のも読まなきゃな