めっちゃ売れた本らしい
映画化された作品
話は、テーラーで働いていた曽根俊也が母親の部屋で見つけたノートとテープから始まる。そのテープには幼き頃の自分の声が入っていたが、それは30年前に起こった『ギン萬事件』という未解決事件の脅迫のときに使われた音声だった。俊也は亡き父親の友人である堀田とともにその真相を追っていく。同時期に新聞社で働く阿久津も年末特集の題材として上司に未解決事件の取材をしろと言われ、『ギン萬事件』の真相を調べていく…という話
内容が文庫版で535ページあって多いし、ミステリーっぽいしで普段あんまり読まないタイプではあるんですけど
1つの事件について無理のない程度にゆっくりと真相がわかったり、わからなかったりするのが理解しやすくて読みやすかったですね
2人の主人公視点でときどき入れ替わっているとはいえ
ミステリーってそういうものなのか
それとも取材がそういうものかはわからないですけど一回行った場所に何回も通いつめることで新しい情報が手に入るのがRPGみたい
冒険譚だって思って読んでたんですけど
実際に森永とグリコの事件であったことが題材になっているみたいで不謹慎やったわ
そんな気持ちもあるけれど映画とか絶対泣くやつだとも思いましたね
内容について言うと
事件に巻き込まれた加害者の親族が悲惨な目に遭っているっていうのが鮮明に描かれていて
どんな理由があっても明らかに人に迷惑をかける犯罪行為って当事者である加害者自体よりもある意味周りの方が傷に残りやすいところはあるかもなって
あと加害者に対する怒りをどうにかするためには加害者の周りに様子を聞く必要があって、
でも周りもある意味被害者だからそこに深く追及するのも人道的ではないような気がして
っていうジレンマがあるよなぁって
報道のあり方はずっとそうだけど難しいって思いますね
加害者の周りに怒りを飛び火させたり、蔑んだりが一番タチ悪いけどね
ただこの本だけに関してはまだ救いの余地があった、過去にあったっていうことでなんとなくその辺りの救いのなさみたいな絶望感は薄くてその代わりに悲壮感の方が強くなっているのが読んでて辛くはならなかったかな
悲しい気持ちにはなったけど
特に生島さん一家のその後は
『ベルリンは晴れているか』でも思ったけどやっぱりこのくらいのボリュームの本を書き上げる力ってすごいなって思いますね
深緑野分さんも塩田武士さんも他にも長編いっぱい書いてるけど
すごいとしかいえんわ…
職人技だ