今村夏子さんの最新作
『木になった亜沙』は、
亜沙は自分の手から渡したものを誰も受け取ってくれない。好きな子にあげたお菓子、祖母にあげたクッキー、給食当番で配膳した給食。
自分の手から受け取ったものを誰かに食べてほしいと願ったまま亜沙は生涯を終える。転生した亜沙は木として生まれ変わって、割り箸に加工されて…という話
『的になった七未』は、
自分だけがものがぶつかることがない七未。ドッジボールも、上級生が投げる水風船も、
なぜか自分だけが当たらない七未は中学生になってから自分で自分を殴るようになり、施設に入れられる。そこで出会った先生と結婚を約束して妊娠して…となっていく話
村田沙耶香さんが作品のテーマが大きい括りだと同じ中でぶっ飛んでるのに対して
今村夏子さんは作品のテーマは毎回違うのに発想がそれぞれぶっ飛んでる
両者とも今後ますます楽しみですね
今村夏子さんの作品って主人公からしたらハッピーエンドだけど一般的にはバッドエンドみたいなものが多くて
そこでまた味わい深いんですけど
的になった七未はちょっと感情移入のしようがあるところがあるからちょっと切なかったですね
それにしても木になった亜沙ではゴミ屋敷の住人がめちゃくちゃ良い人みたいに書かれていて
的になった七未では救いの手を差し伸べる立場の先生が薄情なところがあって
っていうように
一般的な善悪と出来るだけ逆で書いてやろうという今村夏子さんのひねくれ方みたいなものがめちゃくちゃ共感できる
そういう部分は作品全体でとても一貫性が見られるのでこれからも本当に楽しみなんですよね
村田沙耶香さん、今村夏子さん、藤野可織さんはちょっとそれぞれ追っていきたいものがありますね