舞城王太郎さんのミステリー作品
『煙か土か食い物』のルンババが出てくる
あらすじ
主人公の隣の家には同い年のルンババが住んでいる。ルンババの姉の涼ちゃんは父親に監禁され、逃げようとして屋上から落ち、亡くなっていた。ルンババと主人公は修学旅行先で姉妹と出会い、殺人事件に巻き込まれたり、大量殺人事件の現場にたどり着いたりしてあらゆる密室の謎を解いていく。そしてルンババは涼ちゃんと同じ状況になり…という話
軽い感じで書かれているのにめちゃくちゃグロい
舞城王太郎さんの作品っぽさなんだろうなって思います
それにしてもミステリーの謎を読者に解かせる気がなさすぎて好き
では面白かったところを3つほど
1つ目は谷口が起こした事件と姉ツバキの奇行
姉の交際相手の谷口が奥さんとか子どもとかを殺害する事件がまずグロいんですけど
その死体を姉のツバキが切ったり動かしたりっていう気奇行をとるっていう一連の流れが実際にあったら怖すぎる
出てくる奴ら全員サイコパス
ここまで突き抜けてるからリアリティなくて読みやすいんですけど
一方で心理描写とかの細かいところがリアルなのがとても好き
2つ目は大量殺人事件の謎
舞城さんのミステリー作品はトリックが凝ってる感じがあるんですけど
特に大量殺人事件のトリックが凄すぎる
どうやったら何もないように見えるところを密室にできるのかっていうことからそんな発想できんわって思うし
死体の場所を動かすことにも意味があって
置いた場所で意味が変わって
っていうのが追いつけんわ
3つ目は最後の展開のルンババ
ルンババが涼ちゃんと同じように親に監禁されている状態になってから
涼ちゃんの死について謎を解明して乗り越えようとするところが爽やかで良い
非現実的すぎる展開が多いなかでこういうところの登場人物の心情がリアルだから良い
1冊で舞城王太郎さんらしさみたいなものをめちゃくちゃ感じる
ここまで個性を出せる作家さんって尊敬する