刊行を待たずして亡くなった筆者の作品
話は、
20歳のときに余命10年を宣告された茉莉が入院と退院を繰り返しながら日常生活を送るなかで、コスプレにハマったり、漫画を描いたり、小学生時代の同級生の和人と付き合ったりして10年間を過ごしていくという話
見た目がキャラクター文庫っぽくて読みやすいんですけど
たぶん筆者の実話も混じっているのかところどころがめちゃくちゃリアルで
特に最後のあたりは普通のキャラクター文庫だと恋人同士で寄り添い合うように描かれるだろうところが全然違う展開で
300ページ超えた後くらいから読むのが辛くなるほどなんですよね
内容については正直最後の辺りの表現が切迫して描かれすぎてその前の雰囲気とかもあんまり印象にないんですけど
いや、なんだろうな、余命がわかっていた筆者だからこその部分が大きいのか
明るすぎるところはなかった気がしますね
キャラクター文庫の恋愛のドキドキみたいなのが常に少し抑制されている感じがあって
話として対照的にして面白いしようっていう魂胆が見られないのが心に来るものがありますね
そして黒い太字で最後に書いてる文字がその章についての心を書いてくれているんですけど
なんか、もう全部苦しい…
余命宣告もうちょっと後でもいいじゃんって思うけどそうはいかないもんなって
10年間生きることが確約されている人なんていないのに
10年後に死ぬことが確約されているとそれまでの10年間はやっぱり全く違う意味合いをもつものですよね
自分だったら耐えられるかなって
しかも10年ずっと健康ってわけじゃないから最初は何もできなくなるだろうけど何かしないと本当に何の意味もなくなるし
そういった意味で言うとこの本をバッドエンドとしては受け入れたくないですね
むしろ涙を伴うハッピーエンドって感じなのかなぁ
そういえばふと、こういう感じの小説で男性主人公見たことないなぁって思ったんですけど
なんでなんだろうなぁ
えっ、もしかして男だと見放されるのか…
そんなことあるかな…
あーでも経済力って男の人自体を魅力的に見せてくれるって話を聞いたことがある…
本当にそうなら別の意味で胸が苦しくなってきた…
映画化されるらしいなぁ
金曜ロードショーで見るかなぁ