加藤シゲアキさんの『オルタネート』の1つ前の作品
この本はAGE22と32からなる
話は、就職試験に失敗して就職浪人をすることになった光太がホストにスカウトされて、ホストとして働き始めるが、ある日客として就職試験の最終面接の試験官だった美津子がやってきて…という前半と
ゲーム会社で働き始めて活躍するようになっていた光太の周りで開発に携わったゲームの安全性に問題がある時告発されたり、妹が失踪したりという問題が起こる。それらの問題に対処しながら前半で起こった事件の真相を探っていく…という後半で構成されている
正直な感想としては
あんまり玄人には評価されないんだろうなっていうところがあって
事件の関連性があまりなかったり、チュベローズが後半ほぼ出なかったりという面で
ただ個人的には
加藤シゲアキさんの小説の都会っぽさと暴力、人の醜さみたいなものが凝縮されたこの本みたいな雰囲気が好きなんですよね
ただ前半と後半でタイトル変えた方がしっくりくる部分もあって
っていうかマジで後半チュベローズが全然出てこんのよ
いや読者がチュベローズの登場を待ってるわって
本当に面白かったんですけど
それがどうしてなのかがめっちゃ気になるんですよね
当初予定してたものより内容が増えたんかな
面白い点としては
雫、水谷、亜夢、八千草、美津子、光太のそれぞれの人のカッコよかったり、ちゃんとしてたりしてる部分と人間の醜さとか汚い部分がしっかりページを割いて書かれてるから色んな人の立場から見て楽しめて
登場人物がこれくらいいて自分がこんなに名前覚えることができたの初めてかもしれんって思いますね
それだけ人がちゃんと人格をもってリアルに描かれてましたね
それで内容としてはやっぱり美津子という存在ですよね
光太を面接で不合格にしておいて、ホストの客として現れて光太を支える立場になって、さらに後半では軸になって前半で書かれてなかった面についても書かれてきて
話が進む上でやっぱり面白い要素だなって
ただちょっとツッコみたいところがね
正直色々あるにはある
あの、真相のね、伏線回収がコナンでもわからないレベルの難易度というか、急にお前誰だよみたいなのとか
細かな事件の扱いはそれで良いのかとか、そいでお前全然芽々に会いにいかねえなぁとか
まあある
たぶん1つの作品に対するボリュームがキャパ超えしてるんだと思うんですよね
それで『オルタネート』みたいにちょっと路線を変えてみたのかなっていう気もするんですけど
ただ都会感と暴力と人の汚さみたいなこの雰囲気は本当に描き続けてほしくて
他に類を見ない独特の空気感があるから
次の作品とかが楽しみだなぁって思いますね