2021年の本屋大賞に惜しくもノミネートされなかった作品
話は、精神科医の主人公が精神鑑定について先輩の精神科医から学んでいくなかで無差別殺人の容疑者、我が子を殺害した母親、姉を刺した容疑者、恋人を殺害した容疑者、そして主人公の友人を殺害した容疑者の精神鑑定の助手をしていくなかで自らの過去と向き合いながら精神科医として成長していく…という話
知念さんの作品だと最近『ムゲンのi』がめちゃくちゃ面白かったって思ったばっかだったんですけど正直こっちの方が興味ある分野の話だったんで個人的にはこっちの方が好きかもって思いました
構成が凝っているってわけではないんですけど連作短編っぽくなってて読みやすくて
それぞれの話についてちゃんと展開があるのでとても面白い
これ読むことで精神鑑定ってそういうのがあるのかっていう勉強になりますね
詐病とか統合失調症とか多重人格とか薬物依存とか色々考えられることはあるんやなって
作品の中でも言われてるみたいにその病気をそれぞれ判別するのって精神科医めっちゃ大変そうやなって
そこでもちろん詐病とか結構あるやろうしなって
展開として好きだったのは姉を刺した容疑者の話で途中までちょっと嫌な奴ばっかやなって感じなんですけど
後半ちょっと泣きそうになるくらい優しい話で
いやー参った
精神疾患についての固定概念というか偏見というかがあってそれをどうにかしようとしてもがいた話で良い話やなぁって
もちろん直接主人公に関連する最後の話も面白くて
確かに複数人格があったらそれが犯人で精神疾患で治療することになるよなって思ってたけどちょっと違和感がある部分が最後に綺麗にわかるようになってて
いやー参った
あと人格って他の人のを受け継ぐ形になることがあるんやってびっくり
最近個人的に精神鑑定とか調べてて
刑務所に入ってる人の3割弱くらいが精神疾患で再発した人みたいな話聞いて
これまで精神疾患やとなんでそんな刑が軽くなるんやろって疑問やったんですけど
刑を決定してしまうことでそのまま社会に出す恐れがあるのを防ぐためみたいなの聞いて腑に落ちたんですよね
完全に治して社会に出さなきゃいけないから精神鑑定で調べて治すように手配するっていうのは納得かなって
ただそれが病院にそのまま任せっきりっていうのはキツイよなとも思いましたね
いやーただただひたすら面白くて考えさせられた