村田沙耶香さんのデビュー作で
群像新人賞受賞作
この本は3つのお話で構成されていてそのそれぞれが言い方に語弊があるかも何ですけど特殊性癖の話?になりますね
それぞれについて書きますね
『授乳』は、若い男性の家庭教師を雇われた主人公の女子中学生が自分の部屋でその家庭教師を飼い慣らしていく話
めっちゃ好きやわーって思いましたね
感想でこの作品を読んで赤ちゃんプレイにハマったっていう人がいて
どういうことなんかなって思ったんですけど言いたいことはわかるかなって思いました
気持ちがわかるとかじゃなくて
この話の特徴は家庭教師が人間味が排除されていて象徴的なイメージで描かれていることと虫が潰されることにありますね
こういう風に並べると意味わからないですけど
人間味のない異性を支配していくことになんか仄めかされてることがあるんかな
生命を踏み躙ってる感じと相まって不穏なのは確かですね
ただ正直家庭教師を性犯罪者扱いにもってくのは面白かった
いやーそんな中学生教えたくねぇな
『コイビト』はぬいぐるみを性の対象としている人たちの話
主人公がぬいぐるみに顔を埋めるところから始まるんですけど
主人公曰くそれが接吻でぬいぐるみとか舐めてるあたりからすでにぶっ飛んでるんですけど
この話に出てくる女の子がそれよりも深くぬいぐるみと繋がりを築こうとしていくのがめちゃくちゃ怖い
一言で言えば依存の話なんですけど
自分自身がその存在さえ吸い込まれそうになっている感じで
それがまたぬいぐるみってのが怖い
本に吸い込まれちゃうよう
『御伽の部屋』はある人の家にいるときだけ子どもになってしまう主人公とそれに付き合う相手の話
主人公は
ふとしたことから家に通うようになって他人の家に通うようになってそこでは子どもの演技して相手もそれを承知の上で親みたいに演技して
っていうハードモードおままごとみたいなことして欲求を満たしてるんですけど
正直ちょっとそんな部屋いいなって思うんですよね
世の中の脈絡とかしがらみから抜け出してその部屋では自由に何も考えずに過ごすことができるみたいな
ただそこだからこそ相手の少しの変化が気になってしまうみたいなのもわかるなって
あと回想のシーンで子どもの頃の記憶で女装を趣味としていた友達のお兄ちゃんも出てきて
そのマイノリティの苦悩みたいなのがその頃の場面を通しても伝わってきて
本当に読んでて心にきますね
それぞれが少し不穏で
でも読んでて落ち着く