2019年の本屋大賞ノミネート作
話は、植物学を専攻している大学院生に恋をするレストランの見習いの話っていうとざっくりしすぎかもしれんけどそんな感じ
で、これ『舟を編む』のときにもちょっと思ったんですけど今回より身近な題材だった分思ったのが
詳細がめちゃくちゃエグい
電気泳動の手順とか
特許関係の話とか
学会の様子とか
セミナーの様子とか
エグすぎるだろって
三浦しをんさんが植物系の専攻とかなはずないからほんとに驚愕しかない
メンデルの法則から考えて種をこのくらい取ってとかモデル生物のシロイヌナズナを使って論文書くのは一般的だけどサボテンについてはそれほど関心寄せる人は多くないとかこの機械を使ってPCRかけて遺伝子配列見てとか
これ植物系の大学院生が書いた小説ですか?って本当に思う
で、一応話自体はレストランで修行している主人公が昼ご飯を配達しに行くようになった大学の研究室の面々と仲良くなっていってそこの大学院生に恋するっていう恋愛小説なんですけど
そこもまた植物が題材だから植物の生殖と比べながらみたいな
それで『愛なき世界』とかオシャレすぎんだろ
家にシャンデリアとワイン専用の冷蔵庫置いてる人の発想やん
でもたぶんこの小説って逆に研究室の内側にいる人からしたら当然のことも多いんで
そういう意味では外側しか書くことができない小説だと思いますね
ただこれ三浦しをんさんだから少しアニメよりなエンタメっぽさにもっていって面白さを表現できているけど博士課程の人の話メインの小説なんて正直面白くする余地がほとんどないだろって思うんですよね
だからこれだけ徹底して生物系研究室の話を書いてる小説ってめちゃくちゃ貴重やなって思いましたね
これ卒業してしばらく経った後に読んだら自分の奥にしまいこんでいた研究室の空気感とか引っ張り出せそうだから今の空気感の保存場所として読むと楽しい気がしますね