芥川賞受賞作
今村夏子が流行りみたいなので1番有名なやつ?を読んでみた
話としては、ある街で触れることのできない奇妙な存在として知られるむらさきのスカートの女がいて、その女を観察する女の話。むらさきのスカートの女は社交性がない人物として描かれるが、途中で清掃会社で働き始めてその所長と関係をもっていざこざが起きて…となっていく
全体的な雰囲気がずっと奇妙で不穏ですね
語り手の視点のようにむらさきのスカートの女を観察しているのがずっと実際にその世界に存在する人っていうのがとにかくずっとちょっと怖い
で、この話はいろんなことを表している話な気がして
観察者はむらさきのスカートの女を社交性がなくて異常に思ってる一方で、やたらと友達になりたがっているんですね
ただ実際にはむらさきのスカートの女と観察者は言い続けているものの、周りからむらさきのスカートの女とは言われず名前で呼ばれていたり、人より仕事ができたり、子どもと遊ぶことがあったりと変わりすぎてる感じはなくて
それよりも観察者に話しかける人はほとんどいなくて、ときどき話しかけられても言葉を返さないで、というように観察者の方が変わってるなって
それよりも社交性のない全身真っ黒の服の男は思ったんです
これって主観と客観の違いというか
主観に浸りすぎてることへの危機感を示してるのかなって
観察者がむらさきのスカートの女を観察する動機も明白じゃなくて
優越感なのか何なのか
あとむらさきのスカートの女に対して
周りの人が好き勝手言ったりやったりする場面が人の気持ちを考えない残酷さみたいなものも感じて
色んなものの象徴としてむらさきのスカートの女が描かれてるような気がしましたね
文体としては読みづらくなくて
会話文も多くてわかりやすくて
芥川賞っぽくないのに色んな意味が暗示されていたり、話の構成を不思議なものにしたりということで芥川賞取ってるのがさすがだな
って思いましたね
奇妙で面白かったので他の作品も読んでみよ