活字中毒者の禁断症状

引きこもりが読書感想文を提出するブログ

人を褒められない奴が気まぐれで褒めた

前も書いたような記憶があったりなかったりするが、人を褒めるのが苦手だ。苦手というとちょっと語弊があるかもしれない。正しくは人を褒めたくないと思っている。理由は大きく2つある。

1つ目は自分が他人を評価していいと思えるほどできた人間じゃないと思っているからだ。他人のことを良い悪い判断したところで世間と感覚がズレまくってて別に何も達成してない奴が褒めても相手にとって失礼だという気がしてしまう。

2つ目は自分があまり褒められるのが好きじゃないからだ。ちゃんと自分が尊敬していたり、信頼したりしている人に褒められるのは嬉しいが、それ以外から褒められると『いやお前がそんな上から物言える立場かよ』『そんな口先だけの言葉で何しようとしてんだよ、何が目的だよ、早く本当の目的言えよ』と思ってしまうほどひねくれてしまっている。


ただこのことをちゃんと信頼できる人に言ったところ褒めるのも相手が嬉しいと思うなら良いんじゃないかという旨のことを言われたのでいつか挑戦してみるかと思っていた。


そしてその日はやってきた。

塾の授業で試験もどきを生徒に解いてもらっているときに時間を見ると終わった後少し時間が余りそうだった。別の問題解いてもらうほどは時間余ってないしいい機会だと思ってめずらしく偉そうに先生ぶって褒めてみるか。そう思って言うことを考える。前々から思っていたその生徒の良いところは割と多くある。解答の構成がとても端的で綺麗だったり、言葉の選び方の抽象度が丁度よかったり、難易度に合わせた時間配分だったりなど。小学生ながら色んな感覚が優れていると思ったのでそれを伝えてみようか。


試験が終わりいざ伝えるとなるとちょっと照れる。小さい声でボソボソと相手の顔も見ずに、ここが素晴らしいと思うんだけど、ここもまたとても優れていて言葉の選び方も綺麗だよね。この書き方は減点するところがないから言うことないねなどと呟く。自分で何様だよと思って嫌になる。生徒もこっち見て睨んでたらどうしようかなと思って生徒をチラ見してすぐに目を逸らした。今まで見たことないくらい照れて喜んでいるのがマスク越しでも一瞬でわかった。その表情の純粋無垢な感じが眩しくて直視できなかった。

少し生徒の素直さを信じていなかったことを反省したが、それ以上にこっちが褒められているような照れ臭さがあった。自分みたいな未熟者が褒めただけでこんなに素直に喜んでくれるなんてとてもありがたいなと思った。


自分が偉そうになるのは気をつけないといけないけれど、たまには人を褒めるのも良いことなのかもな。