あらすじ
望月家の愛車の緑のデミオはある日、元女優の荒川翠を車に乗せる。しかし翌日、荒川翠がトンネル内での自損事故を起こし、浮気相手とともに死亡したという記事が出る。どうして荒川翠が死んだのかを探るために良夫と享は記事を書いた玉田という記者に接触する。そこにまどかとその交際相手の江口さんの抱える問題が絡んできて…という話
この作品は割と最近寄りの作品ではあるんですけど初期の作品っぽい感じがした
物事が軽く滑らかに進む感じが
それにしても自動車視点の小説で文庫本500ページ以上の長さ書くのって伊坂幸太郎さんにしかできない気がする
発想は出来てもここまで書くのはすごい
では面白かった点を2つほど
まず1つ目はダイアナ妃の死と荒川翠の交通事故の対比について
伊坂幸太郎さんの作品って歴史上の出来事を踏まえて書かれることが多いのが特徴の1つだと思うんですけど
改めてよくここまで準えて書けるよなって思いますね
もともと発想が歴史的な出来事から来てるのかなって思うんですけど
それはそれでその発想から小説を形にするのもすごいな
教養的な知識がつくのも良い
2つ目は車での出来事をキャッチーに描いているところで
やっぱり車の中での会話ってめちゃくちゃ限られていると思うんですけど
それだけ制限つきの場面の繋ぎ合わせで良くここまで形にできるなって思う
それに車ならではのことも色々と描かれていて
最後の展開も好きだし
人間での物語の進行度と車での物語の進行度に差があっても自然になっていて
いやとにかくすごい
伊坂幸太郎さんにしか書けない話で
500ページ超えでもスラスラ読めますね
車が好きだったらもっと楽しめたのかなぁ