あらすじ
目が覚めると猫に話しかけられていた。猫の話では猫の住んでいる国にはクーパーと呼ばれる杉の木が変化した生物を討伐するために毎年3人ずつ町人が選ばれていた。彼らはクーパーを倒すと透明になって二度と町には帰ってこない。そんな町に鉄国という国から兵士が攻めてきて王の冠人を殺害してしまい…という話
伊坂幸太郎さんの作品初期からだいぶ読んできてちょっと原点回帰したような印象がありましたね
ファンタジーの要素が強くて
面白いと思ったところを3つほど紹介
1つ目はクーパーにまつわる真実について
クーパーの兵士が透明になるっていう現実離れしていた話を現実の次元まで下げてくるための真相が納得ができる
あまりにファンタジーすぎるのに真相を聞いて矛盾点が一切思い浮かばない話っていうのを久しぶりに読んだ気がして
ちゃんとすべての伏線を回収するのも伊坂幸太郎さんっぽさがとてもよく出ていますね
2つ目は猫とネズミ、鉄国と町の関係について
猫とネズミが話をすることができるっていう世界線のなかでネズミが猫に対して色々と交渉を持ちかけてくるんですけど
それを鉄国と町の関係性に準えている文学的に綺麗な構造になっていて
物語の主軸ではないところでも飽きさせないような工夫がちゃんとされているところがすごいですね
3つ目は主人公の正体について
主人公というか、話の語り手に当たる人物がどういう人物なのかが最後の方まで全くわからないけど最後の一味としてね
そこに触れてくるあたりがとても伊坂幸太郎さんらしいし
その正体自体もファンタジーっぽいし
久しぶりにファンタジーを読んだけど
ファンタジーも時々で、納得できるものなら良いな