本屋大賞ノミネート作
平野啓一郎さんの作品は初めて読んだ
話としては、バツ1で再婚した女性が再婚相手の男性を林業の仕事で失う。その後その男性が戸籍上の名前と一致しない人物であることがわかる。その人物は誰なのか、そして戸籍上の人物はどうなったのかを在日3世の弁護士と結婚相手の女性の視点から追う…という話
自分が結婚した相手との子供もいて何年も一緒に暮らして亡くなった後に
戸籍上の名前とか話していた昔の話とかが全く別の人のものだったってわかるところから始まるんですけど
その真相を求めるうちに人を愛することについて考えることについて考えさられるのがとても良かったですね
愛する人の過去も名前も違った時に相手のことを不審に思うのは当然で
それでも人はその人を愛したままいられるのかとか人のどこを愛しているというのかとか
こういうテーマだからこそ改めて考えさせられますね
単純に恋愛の愛とかだけじゃなくて人間愛についても
ちょっと共感はできなかった点としては
在日に対する偏見はあまり感じたことないんで
これが立場的になのか今はその傾向が全体的に薄れてきているのかは分からないですけど
主人公の周りがその偏見をもっている感じは少しピンとはこなかったですね
ちゃんとその歴史について勉強してみないとなって思います
完全に自分にはない視点なので
全体を通して
自分であることの証明が外部から保証されてる書類とかでしかないことへの気持ち悪さみたいなのはちょっと感じることがあるんでそれを指摘してくれてるのはちょっと嬉しいですね
物理的な人そのものに結びついている特徴というか性質というかはどうしても自分の中に落とし込まれていてそれは外部からの情報をいくら変えても変わらない感じがちゃんと描かれているのは救いですね
嫌でも自分は自分っていうことですよね
良くも悪くも
でも2度と元に戻れない状態で人と入れ替わりたいってことあんまり思わないんですね自分としては
自分以上に自分に愛着をもってる人はいないし
他の人に対して抱えられる愛着はたかが知れてるし
元自分が勝手に死んでるっていうことの喪失感と人として生きることへの虚無感は拭えないと思うんでね
ちょっと教養本みたいですね