伊坂幸太郎さんの8作目
人の死を可とするか見送りとするか判断する死神目線で語られる連作短編集で
コールセンターで働き、死にたいと思っている女性・組から裏切られたヤクザ・別荘の連続殺人事件に巻き込まれた人々・向かいのマンションに住む女性に片思いしている男性・殺人事件で指名手配されて逃亡中の男性・田舎で美容師をしている老年の女性などが主人公の話がある
死神は彼らの現状を把握して音楽を聴きながら死を基本的に認めていく…という話
正直言うと最初の方だけ読んでると面白いけどめちゃくちゃ面白いとは思えないような感じで
あんまりかなって思ってたんですけど
連作短編集でそんなことしてくるっていう展開になってて
最後の話はそれまでの話を踏まえた上で読むととても面白いと思いましたね
最後の話は集大成的な意味合いが強くて別と考えると
他の話で面白かったと思ったのは片思いしている男性の話で最初ストーカーみたいな書かれ方をしている男性が心がかっこいい人でそれでその後へと続く話の展開が面白いけど切ない話でしたね
全体的に言うと死神という非日常的な存在を人間味溢れる形で書くことで日常に落とし込んでるあたりの伊坂さんらしさが強いですね
一見変わってて無鉄砲な計画なんだけど内情まで知ったら理解できる展開になってるところもまたらしさが全開で
伏線回収的な要素は少ししかないですけどその分軽く読むことができるようになっているような印象でしたね
次は『魔王』だ