直木賞候補作
昔アラル海だった国、アラルスタンで大統領のアリーが何者かによって銃殺された。議会の男たちはパニックに陥って、どこかへ逃げていき、残されたのは少女たちだった。アイシャを中心としてナツキ、ジャミラたちは自分たちで国家を興すために立ち上がる。彼女たちはAIMやウズベキスタンの組織との対立に立ち向かいながら、自分たちの政府の文化を主張するべく劇で国民にアピールする…という話
宮内悠介さんの話はグローバルで教養に富んでて登場人物が多いから全体を把握するのはめちゃくちゃ大変
だけど展開だったり面白さ自体だったりはアニメみたいにわかりやすい面白さだから読むのを楽しめるのは楽しめるんですよね
とはいえ中東のことをよく理解していないからどこからどこまでが真実なのかわからないけど
100%創作ってわけではなさそう
では具体的に良かったところを2つほど紹介
1つ目は国家と劇の重ね合わせ
この作品の一番の魅力は政治や国家を手の届く範囲で描いてるようなところだと思う
小さくて治安があまり良くない国における国家を元にしてるから政治家たちが逃げて少女たちが政治を行うという設定も比較的入ってきやすいし
実際にそれまで友人のような関係だった人が大統領になったり文化や外交を担当したりしてるから本格的なごっこ遊びみたいな様相を呈している
そしてこの主題でみんなで劇を成功させるというのが大きな目的の一つになっているから
国家の様子と劇の様子を照らし合わせて考えやすい
政治って役割を与えられてまっとうするものという点で劇と共通していて
悪く捉えれば政治を皮肉っていてたいしたものじゃないって言ってるみたいで
良く捉えれば政治を身近なものだと言ってる気がした
2つ目は民族の差異について
この話の舞台は中東の政府だけど主人公が日本人のナツキでそれ以外にも色んな国から逃れてやってきている登場人物たちがいて色んな民族で構成されてる
中東のあたりの民族や出身国によるタブーみたいなのが何回聞いても覚えられない身からすると
出身国とかの背景から立場が異なっていて
そこから話に展開が生まれる
っていう状態になってるのがまずすごいと思ってしまったな
宮内悠介さんは民族間の差異を勉強したのかな
他の作品でも海外が舞台になってるものが結構あるし教養の一部としてその感覚身につけてんの憧れるな
あんまり話の本質と関係なくなっちゃったけど
宮内悠介さんの作品読むと勉強しないとなって思わされるなあ